「Jリーグにやって来そうな外国籍選手」。今回はJ1編に引き続きJ2・J3編をお届けする。
近年のJ2、J3クラブは様々なリーグから選手をリサーチ、あるいは選手側から売り込みを受けている傾向があり、かつてFCポルトでプレーした元U-21ブラジル代表FWケルヴィン(29/昨年6月にFC琉球へ加入)のような大物選手のサプライズ補強も多くなった。
ここでは市場価値がそこまで高くない選手をメインに選出したが、中にはJ1でも通用しそうな選手も何人かリストアップされている。総勢10名。ぜひご覧ください。
ニコラス・オルシー二
Nicolás Orsini
国籍:アルゼンチン/イタリア
ポジション:FW
年齢:28歳
所属:ボカ・ジュニオルス(ARG)
アルゼンチン屈指の名門に在籍する187cmの大型ストライカー。
2016〜18年まで徳島ヴォルティス(試合出場はなし)、2017年にはファジアーノ岡山へローン移籍を経験。当時のJリーグでは活躍出来なかったが、その後アルゼンチンリーグでブレイク。活躍が評価され2021年にボカ・ジュニアーズへ加入した。
そのサイズに似合わずスピードがあり、馬力のある突破でチャンスを生み出すほか、ゴール前での決定力が持ち味だ。
ボカでは元アルゼンチン代表FWダリオ・ベネデット(33)らの牙城を崩せず、加入後3シーズンで挙げたゴールは僅かに1。現地では「近年のボカの補強の中でも指折りの失敗」と言われているとのこと。今季限りでの退団が確実と言われており、既にアルゼンチンやメキシコのクラブが獲得に興味を示している。
現時点でJリーグ入りの噂はないが、即応性が求められる夏の補強において、日本でプレーした経験は何よりの魅力だ。まだ28歳と若く、再起の地として日本を選ぶことも十分考えられそうだ。
【Jに来るかも知れない度】★★
【Jで活躍するかもしれない度】★★★★
ロビン・シモヴィッチ
Robin Simović
国籍:スウェーデン
ポジション:FW
年齢:31歳
所属:全南ドラゴンズ(KOR)
2016〜19年にかけて名古屋グランパスと大宮アルディージャでプレーした大型ストライカー。199cmと破格のフィジカルはもちろん、シュート技術も高く、名古屋在籍時の2シーズンではJ1、J2の両リーグで二桁ゴールを挙げたことでも知られる。
その後はイタリア、ノルウェー、スウェーデンのクラブを経て、今シーズンからKリーグ2部の全南ドラゴンズへ加入した。
1部昇格の切り札として全南サポーターから大きな期待を受けたシモヴィッチだったが、ここまでまさかのリーグ戦9試合0ゴール。既に現地ではレギュラーの序列に変更があるのでは?との噂も出ている。このまま不調が長引けば放出か、他クラブへローン移籍の可能性が高いだろう。
Jリーグは慣れ親しんだ舞台であり、地理的な条件も加味しても彼が今夏にやって来る可能性は低くないといえる。J2であればゴール量産も期待できるだろう。
【Jに来るかも知れない度】★★★
【Jで活躍するかもしれない度】★★★★
レオ・ラクロワ
Léo Lacroix
国籍:スイス/ブラジル
ポジション:DF
年齢:31歳
所属:フリー ※前所属 ウェスタン・ユナイテッドFC(AUS)
スイス代表歴を持つ195cmの大型センターバック。
かつてはフランスのASサンテティエンヌやドイツのハンブルガーSVなどに在籍。昨シーズンのウェスタン・ユナイテッドFCでは守備の要としてクラブ史上初のリーグ優勝に貢献した。
体躯を生かしたヘディングはもちろん、足技を駆使したオーバーラップも持ち味。常にサイズの小さい短パンを履いているため、ただでさえ長い脚が更に長く見えるのが魅力ポイントだ(最近の選手は通常サイズの短パンの裾を捲って短くしているのだが、ラクロワの場合はそもそも短い短パンを履いている。昔でいうジーコら80〜90年代前半に活躍したフットボール選手のような出立ちなのである)
ウェスタンでは今シーズンも活躍したが、チームは連覇を逃し、ラクロワ自身も今シーズン限りでの退団が決定済み。ここまでJリーグ入りの噂はないが、失点に悩むチームにはうってつけの存在である。市場価値もお手頃で、Jの幅広いクラブが興味を示しそうな選手だ。
【Jに来るかも知れない度】★★
【Jで活躍するかもしれない度】★★★★
ヴィ二シウス・タンキ
Vinicius Tanque
国籍:ブラジル
ポジション:FW
年齢:28歳
所属:フリー ※前所属 UDログロニェス(ESP)
ブラジルの名門ボタフォゴで育成されたストライカー。
2015年のプロデビュー以来ブラジル国内でプレーしていたが、近年は活躍の場をスペインへ移し3部リーグのクラブで活躍。2020-21シーズンはリーグ戦11ゴールと活躍した。
180cmとサイズがあり、筋肉質の体型を活かしたフィジカルの強さと空中戦が武器。ワイドに流れて幅を作る動きにも長けており、チェイシングにも優れる。
今シーズンはスペイン3部リーグのUDログロニェスにエース待遇の扱いで加入。2部昇格の切り札として期待されたが、22試合3ゴールと大ブレーキ。チームもまさかの4部リーグへ降格となった。
タンキ自身も今シーズン限りでの退団が決定しており、現在はフリー。現時点でJリーグ入りの噂はないが、市場価格も下がっているため手を挙げるクラブが出てきそう。
近年のJ2・J3のクラブは世界中の幅広いカテゴリーから外国籍選手を獲得しており、彼が強化部の目に留まっている可能性は低くないだろう。
【Jに来るかも知れない度】★★★
【Jで活躍するかもしれない度】★★★★
ダニエウ・アウヴェス
Daniel Alves da Silva
国籍:ブラジル
ポジション:DF
年齢:21歳
所属:フリー ※前所属 SEパウメイラス(BRA)
U-17ブラジル代表招集歴を持つ左利きの大型DF。センターバックとサイドバックをこなせる万能さに加え、そのサイズに似合わぬスピードを兼ね備える。
元々はU-23日本代表MF松岡大起(21)が所属するグレミオ・ノヴォリゾンチーノの出身。U-17代表招集後の2019年に名門パウメイラスのユースチームへスカウトされた。
昨シーズンはパウメイラスからジェフユナイテッド千葉へローン移籍。苦しいDFの台所事情もあって12試合に出場したが、シーズン終了をもってローン満了となりパウメイラスへ復帰した。ところがその後パウメイラスとの契約も切れ、現在はフリーの状態が続いている。
コンディションとやや荒削りな点は気になるところだが、ポテンシャルは抜群。守備陣に負傷者が相次いだクラブや試合をクローズするためのピンポイント補強として獲得に動くクラブが出てきそうだ。J3のクラブでは即戦力として活躍する可能性もありそう。
【Jに来るかも知れない度】★★★★
【Jで活躍するかもしれない度】★★
フェルナンド・アンドラーデ
Fernando Andrade dos Santos
国籍:ブラジル
ポジション:FW
年齢:30歳
所属:FCポルト(POR)
ポルトガル1部リーグの名門FCポルトに在籍する182cmのストライカー。 2012年にヴィッセル神戸で4試合に出場した経歴を持ち、その後ポルトガルでブレイクした。
ウィングタイプのストライカーで、左サイドからスピードを生かしたパワフルな突破で相手ゴール前へ侵入し、シュートを放つのが十八番だ。
トルコ、サウジアラビアでのローン移籍を経て昨シーズンからFCポルトへ復帰したのだが、サウジアラビアで負った膝の怪我の影響で調整が遅れ、この2年間でリーグ戦の出場は僅か5試合。今シーズンの試合出場はゼロという状況にある。
一方でフェルナンド自身のコンディションは上向きだそうで、昨年夏には現地メディアにて日本と中東のクラブからオファーが届いたと報道された。
既に今季限りでの退団が決定的で、今夏もJリーグのクラブからオファーが届くことが予想される。試合勘は気になるところだが、市場価値も下がっており、お買い得選手であることは間違いないだろう。
【Jに来るかも知れない度】★★★
【Jで活躍するかもしれない度】★★★
エヴァンドロ
Evandro da Silva
国籍:ブラジル
ポジション:MF
年齢:26歳
所属:FKラドニチュキ1923(SRB)
抜群のテクニックと忍者のような身のこなしでスルスルと前線へと攻め上がり、正確なパスやシュートを放つセカンドストライカータイプのアタッカー。
コリチーバの下部組織で頭角を表し、U-20ブラジル代表にも選出されたが、出場機会を求めて21歳の若さでブルガリアリーグの強豪CSKAソフィアへ移籍。その後ハンガリーのクラブを経て現在はセルビア1部リーグでプレーする。
今シーズンはリーグ戦20試合1ゴールと活躍出来ず、オフに退団するものと思われる。近年のキャリアは明らかに伸び悩んでおり、心機一転して新たな地域でプレーする可能性は高い。
豊かなサッカーセンスを誇る一方でクセのあるブラジル人選手は過去のJリーグでも多く見受けられたが、ロマンがあり使い方次第では大ブレイクすることも十分ありうる。今後獲得に動くJリーグのクラブも出てくるかもしれない。市場価値を考えるとオファーを出しそうなのはJ2のクラブか。
【Jに来るかも知れない度】★★
【Jで活躍するかもしれない度】★★★
ペドロ・マルティン
Pedro José Martín Moreno
国籍:スペイン
ポジション:FW
年齢:31歳
所属:フリー ※前所属 オディシャFC(IND)
スペイン名門アトレティコ・マドリード出身の大型ストライカー。ディエゴ・シメオネ監督就任直後の2012年にリーグ戦で1試合だけ出場した記録を持つ。その後は出場機会を掴めず、スペインの下部クラブを転々とするキャリアを送っていた。
昨年7月にスペイン人選手が多くプレーするインディアン・スーパーリーグのオディシャFCへ加入。20試合3ゴールの成績を残していた。
オディシャでは見事なゴールを記録した一方で、同じポジションの元U-20ブラジル代表FWディエゴ・マウリシオ(31)がリーグ得点王を獲得した陰に隠れ続け、既に今シーズン限りでの退団が決定済み。189cmと長身でキープ力の高いセンターフォワードだけにアジアでの需要は引き続きありそうだ。
スペイン人選手が在籍し、かつ得点力不足に悩むJリーグのクラブが獲得に動いている可能性は高い。市場価値を考えるとJ2・J3上位のクラブか。
【Jに来るかも知れない度】★★
【Jで活躍するかもしれない度】★★★
ディヴィッド・ブラウン
David Browne
国籍:パプア・ニューギニア
ポジション:FW
年齢:27歳
所属:フリー ※前所属 HJKヘルシンキ(FIN)
南太平洋に位置するパプア・ニューギニア代表のエースストライカー。
ニュージーランドの名門オークランド・シティFCでブレイクし、トライアウトを経てオランダのPECズウォレ、FCフローニンゲンなどでプレーした。175cmと上背はなく、豊かなスピードを武器に主にウィングストライカーとして起用されている。
ちなみに父親は過去にイギリスからパプア・ニューギニアへ移住し、現地で著名な漫画家となったことで知られる。
現在はフィンランド1部リーグの名門HJKヘルシンキを退団し、フリー。まだ27歳と若く、得点力不足解消のため獲得に乗り出すJリーグのクラブもあるかもしれない。Jリーグ史上初のパプア・ニューギニア人選手の誕生はあるだろうか。
【Jに来るかも知れない度】★★
【Jで活躍するかもしれない度】★★
ファグンド・エスナイデル
Facundo Esnáider Ruiz
国籍:スペイン
ポジション:MF
年齢:21歳
所属:ヘタフェCF B(ESP)
レノファ山口FCの新監督に就任したファン・エスナイデル氏(50)を父親に持つ184cmの大型セントラルMF。
エスナイデル氏がジェフ千葉の監督を務めていた2017~18年にジェフユナイテッド千葉U-18に在籍。ファジアーノ岡山へローン移籍中のU-21日本代表FW櫻川ソロモン(21)らと共にプレーした。
その後はスペインへ帰国し、主に5部リーグのクラブでプレー。今シーズンもヘタフェB(スペイン1部リーグに所属するヘタフェCFのセカンドチーム)に在籍している。
ヘタフェBではフォワードとして登録されている模様。現時点でJリーグ入りの噂はないものの、父親がレノファ山口の監督に就任したことで彼も後を追うことが十分考えられる。
ハイライン・ハイプレスの伝道師役として文字通りの「愛弟子」の加入が現実味を帯びてきそうだ。
【関連記事】この夏、Jリーグにやって来るかもしれない外国人選手たち(2023年/J1編)
【Jに来るかも知れない度】★★★★★
【Jで活躍するかもしれない度】★