「いかに地域に必要か」台風被害で一部運休続く大井川鉄道 国に地元の声伝え 支援要請=静岡

ローカル鉄道のトップが地域の交通と産業を守るため、国に要請です。台風の影響で一部区間の運休が続く大井川鉄道の社長が6月9日、国土交通省を訪れ、全線の復旧に向けて国に支援を呼びかけました。

9日、国土交通省を訪れたのは大井川鉄道の鈴木肇社長などです。大井川鉄道は2022年9月の台風15号の影響で本線の一部区間が運休していて、9日は早期復旧に向けて国に支援を呼びかけました。

災害発生から間もなく9か月。川根本町下長尾の現場に行ってみると…。

<大井川鉄道広報 加冷英鵬さん>

「川の向こう側、本来は大井川本線の線路で列車が走行する場所なんですが、土砂が流れ込んで電線の高さまで埋まっている。災害を受けた場合、自社で復旧するのが流れですが、3年間新型コロナで経営体力が削られた中で、単独では復旧は困難という結論に達しました」

被災箇所は20か所で復旧にかかる費用は19億円に上ります。大井川鉄道が走る島田市や川根本町に甚大な被害をもたらした台風15号。一時、全線が運休した大井川鉄道の本線は、2022年12月に金谷駅から家山駅まで運行が再開。10月に新たに2駅が再開する見通しですが、いまだ多くの区間で再開のめどがたっていません。

現在、終点となっている島田市の家山駅では…。

<篠原大和記者>

「きかんしゃトーマス号も家山駅で折り返して始発の駅に戻っていきます」

電車の乗客が川根本町に向かう場合、家山駅でバスに乗り換えることができますが、利用者は少ないのが現状です。

本来の終点、川根本町の千頭駅。列車が来ないことで地元の観光業などは大きな打撃を受けています。こちらの旅館「翠紅苑」では、一か月あたりの宿泊者数が災害の前と比べ2割ほど減っているといいます。

<翠紅苑 望月孝之会長>

「去年までは約30%の客が鉄道を利用して来ていた。列車に乗れないのであきらめたり、途中で帰る人もいる」

9日、大井川鉄道の鈴木社長は地元の声を国に直接伝えました。

<大井川鉄道 鈴木肇社長>

「いかに地域に必要か(国とも)協議をさせていただいて、支援がいただければと感じています」

多くの人たちが1日でも早い全線の再開を願う大井川鉄道。今後の国による支援の動きに注目が集まります。

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