29日に新知事に就任する宮下宗一郎氏(44)が、子育て支援政策を強力に進めるため、青森県庁内に新たな部局と補助金を創設する方針であることが9日分かった。国の「こども家庭庁」に相当する組織をイメージし、子ども・子育て政策に関わる部署を集約する。補助金は市町村がそれぞれ取り組む子育て経費無償化事業の財源に充ててもらう考え。
宮下氏は、知事選の政策集に「少子化へ挑戦」と銘打ち、少子化の要因分析と政策立案・検証のための「青森こども未来県民会議」の設置と、現在1.24の合計特殊出生率を2以上に上げるための道筋をつける「青森モデル」の確立を掲げている。
東奥日報の取材に対し、宮下氏は県庁の組織再編の一環で、子ども・子育てに関する新部局を創設する-と説明。これを一例に、その時々の政策の柱と連動させながら、県庁組織を随時見直していく考えをあらためて示した。
政策集に盛り込んだ「医療費・保育料・おむつ代・給食費等について、市町村と連携し、段階的な無償化推進」に関しては、県が実施事業を決めて市町村に財政負担を求めるのではなく、各市町村が取り組む無償化を支援する補助金を交付する方針だとした。
宮下氏は「全市町村に財源を配分することで、各地域が独自性を持って無償化政策を進めていく形にしたい」と話した。
補助金支給には多くの財源が必要となるが、政府が子ども予算倍増を打ち出していることを念頭に「国の財源に大きく期待している」とした上で「県独自の財源も、予算編成の中で子ども関連に寄せる形で確保していく」と述べた。
少子化の改善には無償化の給付だけでなくさまざまな施策が必要なことから、中長期的な政策群を提示し、県民運動的に取り組んでいける態勢をつくる考え。その一環で、子どもを大学卒業まで育てるのに必要な費用を示し、各種支援策によって負担がどれぐらい軽減されるかをシミュレーションして明示する構想も語った。
宮下氏は「少子化に関する重層的なプログラムを『青森モデル』として発信し、国に提言することで、全国から注目されるような青森を目指す」と述べた。