懇親は短時間で?

 ここ3年の職場の空気を表した川柳がある。〈コロナ禍が程よく上司をディスタンス〉。職場の親睦の場がほぼ消滅し、交わすのは仕事の話くらい。働く人の多くがうなずけるのではないか▲このディスタンス、距離感がいい、と感じる人も多かっただろう。コロナ禍の前は多くの意識調査で、若い人が職場の懇親会を嫌う向きが強まっていた▲それだけにやや驚く。情報通信サービスのBIGLOBE(ビッグローブ)による最近の調査では、「上司との飲み会にできるだけ行きたいか」という問いに「行きたい」と答えたのは、24歳までの若い層が4割で、上の世代よりも多かった▲コロナ禍で「職場の親睦」を知らずにいた世代が、時には先輩とゆっくり話したい、と思い始めたのかどうか。楽しく、実のある会話の場になればいい。ただし、その交流の機会も「やるなら短時間で」ということらしい▲新型コロナの「5類移行」から1カ月。一部の飲食店やカラオケ店はいまだに業績が振るわないという。2次会、3次会と夜中まで大人数で飲んで歌って-という風潮は今のところ戻っていない▲この先、どうなるのだろう。〈ただでさえ無礼な部下の無礼講〉というほほ笑ましい川柳がある。これもやがて、昭和や平成の遠く、懐かしい風景になるのだろうか。(徹)

© 株式会社長崎新聞社