蛙化現象(かえるかげんしょう)

「蛙化現象」の意味

「蛙化現象」(かえるかげんしょう)には、ふたつの意味がある。

(1)自分が長く好意を抱いていた相手が、振り返ってこちらが好意を抱かれたことで「気持ち悪い」と感じるなどかえって気持ちが冷めてしまう現象。これは「片思いが両思いになると相手への気持ちが冷める」といった矛盾した心理だが、昔から女性に多く見られる現象でもあった。
単に相手への関心がなくなるだけでなく「生理的にイヤ」という嫌悪感を抱いてしまうのが特徴でもある。

(2)主にSNS上で、交際相手の言動が引き金になり、気持ちが冷めてしまう現象。例えば、過剰に怒っている言動、頼りない言動、ケチだったりセコかったりする言動、情けない言動、など。「蛙化現象」が起こる原因としては「相手への理想が高いこと」「相手を100点か0点で判断してしまうこと」など複数の要因がある、とされている。
またこちらの意味では、交際相手だけでなく「好きな男性」「憧れの人」のちょっとした言動なども含まれる。

「蛙化現象」の由来・語源

グリム童話『カエルの王子様』が由来となっている。これが転じて、前述のふたつの意味をもつ言葉として使われるようになったとされている。

「好きだった男性が振り向いてくれた途端、相手に対して嫌悪感や苦手意識が出てしまう現象」のことを言います。

「カエルの王子様」は、おおまかに次のようなあらすじである。

・ある国の王女が、金の毬(まり)を泉に落とす。
・その泉から醜いカエルが現れる。
・カエルは「自分と寝食を共にしてくれたら、毬を拾う」と提案する。
・王女は承諾し、毬を拾ってもらう。
・カエルに毬を拾ってもらった王女は、約束を無視して城に帰る。
・翌日、カエルが城にやってきて、王女に約束を守るよう要求。
・王女は父親である王にも咎められ、カエルと寝室へ。
・王女はやはりカエルを受け入れられず、壁に投げつける。
・カエルの魔法が解け、立派な王子の姿に戻る。
・王子と王女は恋に落ち、結婚する。

カエルが王子になり、嫌悪感が好意へと変わる。
つまり、本記事で説明している「蛙化現象」とは逆である。「蛙化現象」は、いわば好意がカエルへの嫌悪感と変わるからである。

しかしながら、物語とは逆の現象ではあるものの、同じ対象への気持ちが正反対に変化する意味において同意義ということで、「蛙化現象」と呼ばれるようになった、という見方が大勢である。

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「蛙化現象」からさらに派生した言葉で、「蛇化現象」というものもある。

「蛙化現象」の活用例

例1
A「あの映画、面白かった?」
B「うーん、微妙だった。でも、周りが絶賛してるから、私が蛙化してるのかもしれない」

例2
A「最近、あのアイドルグループにハマってるんだよね」
B「ああ、あのグループか。私も最初は興味なかったけど、友達が熱く語ってたから、ついつい蛙化しちゃったんだよね…」

例3
A「あのカフェ、いつも並んでるよね。何がそんなにいいんだろう?」
B「たぶん、インスタ映えするからじゃないかな。私も行ったことないけど。友達も蛙化してた」

例4
A「最近、YouTubeで人気のある『○○チャンネル』って知ってる?」
B「ああ、それなら私も観てる。最初は面白かったけど、観てるうちに蛙化したな…」

例5
「みんながあのレストランをオススメしていたから行ってみたけど、私は正直あまり感動しなかった。でも周りが絶賛しているから、自分が蛙化しているのかな」

例6
「友達が新しいファッションスタイルを取り入れていて、それがとても似合ってたんだ。自分も試してみたいと思っているけど、他の人にどう思われるか不安だし、そのうち蛙化してしまったわ」

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