京都在住の現代美術家・宮永愛子さんの個展 菓子の木型で作ったオブジェも

ナフタリンで制作した大黒様のオブジェ。ケースに結晶が付着する(京都市東山区・ZENBI鍵善良房)

 京都在住の現代美術家、宮永愛子さん(49)の個展「宮永愛子―海をよむ」(京都新聞など主催)の内覧会が2日、京都市東山区の美術館「ZENBI鍵善良房」で開かれた。宮永さんの曽祖父から続く窯元に残っていた型を使い、常温で昇華するナフタリンで制作した子犬や大黒様のオブジェなど約20点を並べ、招待客らが見入った。

 曽祖父は、京焼の陶芸家、初代宮永東山(とうざん)(1868~1941年)。会場では、その東山窯で使っていた約100年前の石こう型で作った子犬や大黒様のオブジェが目を引く。本体はナフタリン製で、ケースにはその結晶が雪のように付着し、時間の移ろいを感じさせる。

 同館を運営する和菓子屋「鍵善良房」(東山区)に残る菓子の木型でコウモリやカニをかたどったガラス製オブジェも展示する。ひび模様が入る時の音を響かせる陶製の器、ガラス玉のインスタレーションなどもあり、招待客は過去や現在、光や音の趣に思いを巡らせながら鑑賞していた。

 3日から8月27日まで。月曜休館。有料。

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