農薬使わない稲苗作り 京都・亀岡の認定農業法人が取り組む

種もみの温湯殺菌をする八木さん(亀岡市〓田野町・八木商店)

 京都府亀岡市薭田野町の認定農業法人アグリにのうみで、お湯で種もみを消毒するなど農薬を使用しない稲の苗作りが行われている。苗は同法人や市内の有機農家らでつくる亀岡オーガニックアクション(KOA)などが育て、市内小学校などで実施中の「有機米給食」に使われる。

 同法人はKOAからの苗作りの依頼に加え、京都市内の酒造会社から有機酒米生産の打診も受け、昨年から実証実験も兼ね有機JAS基準に準じ、コシヒカリと酒米の苗作りをしている。

 一般的には、安定生産のため病原菌や害虫などを抑える薬剤で種子を消毒し、苗代も化学肥料を添加した土を使うことが多い。有機栽培では化学的に合成された農薬や肥料を使用できない。同法人は手間がかかるが、60度のお湯に10分漬けることで消毒できる温湯殺菌装置を導入。苗代の土は今年は有機肥料入りを準備した。

 「有機」は、農薬などのコストや消毒後の廃液処理などが不要になる一方、病害虫リスクが高く、ロスが多く発生し、有機肥料入りの土が近隣で手に入らず運送費が高くなるなどで違いがあるという。

 同法人の八木翔吾専務(35)は、肥料や農薬など農業資材を扱う八木商店専務でもあり「原料を外国に依存する化学肥料などは供給リスクが明らかになった。農薬や化学肥料を使う慣行栽培一辺倒ではなく、国内で資材が循環する選択肢として、有機の実績を積み重ねていきたい」と話している。

 市は有機農業を推進しており、今年は昨年の10倍以上となる約9.5ヘクタールで17の団体・農家が有機JASに準じたコメ作りに挑戦する。

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