5月5日の地震を受けて開幕が3週間延期された奥能登国際芸術祭2023(北國新聞社特別協力)の企画発表会が10日、珠洲市のラポルトすずで開かれ、俳優の常盤貴子さんによる朗読劇が初めて行われることが紹介された。常盤さんは能登を舞台にしたNHK連続テレビ小説「まれ」の出演を機に珠洲市民との交流を続けている。北國新聞のラッピング紙面や連載エッセー「月がきれいですね」に珠洲への応援メッセージを寄せており、「大好き」と公言する珠洲の震災からの復興に一役買う。
総合ディレクターの北川フラム氏が、常盤さんによる「さいはての朗読劇」を9月30日と10月1日に珠洲市大谷町の民俗博物館「スズ・シアター・ミュージアム」で行うと説明した。
常盤さんの夫である演出家の長塚圭史さんが構成を手掛ける。詩人の大崎清夏さんが市民への取材や民話・昔話などの調査を行い、新たな珠洲の物語を書き下ろす。
企画発表会では、国内外のアーティストが地震からの復興を願う映像が披露され、「美しい珠洲を愛している」「芸術祭が順調に開催されることを祈る」「能登は大変な時期だが、珠洲から未来に向けたメッセージを発信したい」などと語った。
泉谷満寿裕市長は「芸術祭が珠洲の復興に向けた光になればと思う」とあいさつし、馳浩知事のメッセージ動画が上映された。
芸術祭の参加アーティストは過去最多となる14カ国・地域の59組となる。地震を受け、予定していた会場5カ所が建物の倒壊恐れなどで使えなくなり、別の空き家・空き店舗に変更した。金沢美大の学生チーム「スズプロ」は想定の会場が使えないため出展を取りやめた。
飯田町の「さいはてのキャバレー」の敷地にある浅葉克己さんの作品「石の卓球台第3号」は地震で地盤が傾いたため、スズ・シアター・ミュージアム敷地に移す。
●復興ロゴマーク公開
席上、珠洲の震災復興をアピールするロゴマークが公開された。「負けとられん珠洲」というキャッチフレーズの周囲に、里山里海などを示す4色の円を配した。
考案したのは珠洲市正院町岡田出身で金沢美大研究生の坂東凜汰朗さん(22)=金沢市三口新町=で、スズプロメンバー約10人によるコンペで選ばれた。坂東さんは地震で自宅の裏山が崩れて祖母が負傷した。
坂東さんは「芸術祭や珠洲にいろんな人が訪れ、方言を使っている地元の人の声を聞き、街中を歩いてほしい」と話した。
芸術祭は9月23日~11月12日に珠洲市全域で行う。北陸放送、テレビ金沢、エフエム石川、ラジオかなざわ・こまつ・ななおが後援する。
●参加アーティストと展示エリア
●大谷
塩田千春、南条嘉毅、OBI、大川友希、橋本雅也、竹中美幸、三宅砂織、久野彩子、bacilli/旧世界土協会、阿部海太郎、KIGI、坂茂、浅葉克己、牛嶋均(以上日本)ファイグ・アフメッド(アゼルバイジャン)奥村浩之(日本)アナ・ラウラ・アラエズ(スペイン)
●日置
弓指寛治(日本)アレクサンドル・ポノマリョフ(ロシア)リチャード・ディーコン(英国)さわひらき、小野龍一(以上日本)
●三崎
カールステン・ニコライ(ドイツ)杉谷一考、梅田哲也、植松奎二、山本基(以上日本)
●蛸島
ラグジュアリー・ロジコ(台湾)リュウ・ジャンファ(中国)OBI、田中信行(以上日本)トビアス・レーベルガー(ドイツ)
●正院
大岩オスカール(ブラジル)ひびのこづえ、中島伽耶子(以上日本)
●直
佐藤悠(日本)
●飯田
ソル・カレロ(ベネズエラ)弓指寛治、栗田宏一、のらもじ発見プロジェクト、河口龍夫(以上日本)
●上戸
吉野央子、城保奈美(以上日本)ラックス・メディア・コレクティブ、N・S・ハーシャ(以上インド)SIDE CORE(日本)
●宝立
シリン・アベディニラッド(イラン)コウ・シュンミン(オーストラリア)北山善夫(日本)シュー・ジェン(中国)マリア・フェルナンダ・カルドーゾ(コロンビア)
●若山
泰然+きみきみよ、嘉春佳、鈴木泰人、原嶋亮輔、小山真徳(以上日本)
●広域
アレクサンドル・コンスタンチーノフ(ロシア)
●パフォーミング
▽9月23、24日 田中泯
▽9月30日、10月1日 常盤貴子
▽10月7、8日 劇団三毛猫座+熊田悠夢
▽10月7~9、14、15日 ひびのこづえ
▽10月14、15日 世田谷シルク
▽10月21日 小野龍一