無事故・無違反者の優遇「特典」、コロナ禍中に大幅減少 福井県交通安全協会などサービス拡大に躍起

飲食店など加盟が拡大している自動車安全運転センター福井県事務所の優遇店と、県交通安全協会の協賛店=福井県福井市中央1丁目のわらび福井駅前店

 自動車安全運転センター福井県事務所と福井県交通安全協会は、無事故・無違反者や協会会員が県内の店舗でさまざまなサービスを受けられる制度を運用している。ただ、新型コロナウイルス禍でサービスを提供する店舗は大幅に減少。社会活動が正常に戻りつつある中、制度の浸透や安全運転の啓発に向け、両団体は居酒屋チェーン店を新たに加えるなど店舗拡大に注力している。

 自動車安全運転センター県事務所は、無事故・無違反証明書か運転記録証明書を申請したドライバーに対し、1年以上無事故無違反だった場合に「SD(セーフドライバー)カード」を発行。カードがあれば全国約2万4千店の優遇店で料金割引などのサービスを受けられる。県内では約4万人がカードを所持。自動車販売店や商店など約220店が加盟しているが、コロナ禍前の半数以下まで落ち込んでいるのが現状だ。

 県交通安全協会は運転免許の更新業務や交通安全啓発活動に取り組み、ドライバーは免許更新手続き時に年500円の会費を支払うことで会員になる。会員数は約25万人。協賛店はガソリンスタンドや自動車関連が多く、エンジンオイル交換の割引などのサービスがある。コロナ禍前に約300店あった協賛店は現在、約250店に減少した。

 コロナ禍による経営悪化などが協力店舗の減少要因として考えられるという。新型コロナの感染症法上の位置付けが5類に移行し、社会活動が活発になることで交通事故の増加も懸念されるため、両団体は協力して店舗拡大に乗り出した。

 車関係の店舗から他のジャンルにも触手を伸ばそうと、県内で5店舗を展開する居酒屋「わらび」に話を持ちかけたところ快諾を得た。グループ客の中にSDカード所持者か協会員が1人いれば、料金の合計から10%を割り引く。中村敏明社長は「交通事故や飲酒運転のない社会へ一役買えれば」と話す。県内各地で習い事などの教室を開く「まなびサイト」も加盟。入会金や初回年会費が無料になるサービスを提供する。

 同事務所の向當和行所長と協会の鍜川騰幸専務理事は「安全運転意識を高めるためにも店舗を増やしていきたい」と話している。店舗の詳細は両団体のホームページで確認できる。

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【主なサービスの例】

◆自動車安全運転センター県事務所の優遇店 (県内約220店) ガソリンスタンド オイル交換、洗車割引 レンタカー店 レンタル料金割引 車販売・修理店 12カ月点検料金、修理代割引 飲食・商店 料金の割引

◆県交通安全協会の協賛店(県内約250店) ガソリンスタンド オイル交換割引 レンタカー店 レンタル料金割引 車販売・修理店 12カ月点検料金割引 教習所 入校時割引 飲食・商店 料金の割引

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