キャラクターの登場シーンを華々しく盛り上げる描き文字フォントを紹介!【漫画のプロが全力で教える「描き文字」の基本】

シーン別描き文字【登場】

登場する!

ここでは主役や悪役、頼りになる助っ人、意外な人物といったキーとなるキャラクターの登場シーンを華々しく盛り上げる描き文字を集めています。

描き文字の表現には、実際の音を文字で表現した「擬音語」と、実際に音を発してはいませんが状況や状態を表す「擬態語」があると第1章で説明しました。メインビジュアルの「ドン」は擬態語にあたり、実際に音が鳴ってはいないのですが、大太鼓をドンと叩いたときに感じる空気の振動のような強い圧を放つイメージとなっています。きっと相対したキャラクターの鼓動も、大きく高鳴ったと思われます。

登場するキャラクターの衝撃や圧が強く大きいものであれば、実際には無音でもこのように大きく描きましょう。主観的な感覚を文字に乗せて表現する、それが描き文字です。

メインビジュアルは文字で人物を挟むことによって人物を目立たせていますが、人物の印象が描き文字に負けてしまう場合は、文字のフチドリ線を細くする、文字の前に人物を描くなどの方法でバランスをとるとよいでしょう。

登場シーンで使える描き文字

︎「ヒュー」、「ドロロロロロ」

少しレトロなお化けの登場シーンに加える描き文字例。

︎「ドドン!」、「ザンッ!」

圧を感じさせる強者の登場場面に加える描き文字例。

︎「パッ」、「バァーン!」

突然の出現、突然の消失場面に加える描き文字例。

︎「ズラーッ」、「ドォォォォォン」

たくさんの人やものが横一列に並んで登場する場面に加える描き文字例。

︎「バン!」

使い方は「ドン!」と同じだが、ドアを仰々しく開けて登場するときにも使える。

︎「ジャーン!」

オーケストラの演奏をイメージした擬態語。「奏でる!」の節では擬音語として掲載している。

『漫画のプロが全力で教える「描き文字」の基本』はこんな人におすすめ!

・描き文字を上手にかきたい! ・描き文字のレパートリーを増やしたい! ・シチュエーション別のかき分け方法を知りたい
と感じている方には大変おすすめな本です。

文字の大きさや、字体、レイアウトなど作風やシチュエーションに合わせてえがく描き文字は、イラストではなく文字なので単純そうにみえますが、奥が深いため苦手意識を持つ方も多くいます。本書では、基本的な描き文字のかき方が分からない初心者の方、ある程度はかけるけど場面ごとのかき分けが得意ではない方、効果音のレパートリーが少なくて悩んでいる方、文字の配置やレイアウトが苦手な方などに向け、描き文字に対するさまざまなお悩みポイントをおさえた一冊です。

漫画や同人誌をかく上で、必要不可欠なものが「描き文字」

描き文字は、キャラクターの心情や効果音などストーリーをより効果的に演出するために必要ですが、SNSなどでは描くのが難しいと言われています。そんな描き文字を東京デザイン専門学校さん協力のもと、本当に使える描き文字だけをわかりやすく丁寧に解説します!

気になる中身を少しだけご紹介!さまざまなシチュエーションがある食事のシーン!描き文字を組み合わせるだけで伝わり方が大きく変わる!?

擬音語、擬態語の多い食事シーンはひと工夫でよりリアル感を演出

食事についてはさまざまな擬音語、擬態語があります。メインビジュアルは「がつがつ」「パクパク」と、ものすごい勢いで食べている女の子の絵。この絵は一見「がつがつ」だけで成立しそうですが、「パクパク」を入れることにより、ものすごい勢いで口に食べ物を放っていることが伝わる絵になっています。また描き文字が前面に出ており人物の顔周りに置かれていますが、これにより動きの激しさが表現されています。食事はおもに口で行う動作なので、描き文字は息づかい同様、顔や口の周りに描くようにしましょう。

下の図は食べる状況に合わせて黒文字、白文字を描き分けています。「ゴクン」は液体を飲み込む音ですが、食べたい気持ちを表現する際にも使えます。「ゴ」の濁点や「ン」の一部が円形になっており、これにより読者にポジティブな印象を与えています。「チュルルルー」「ズズー」などは麺類を食べている音。「パクパク」のようにただ口に入れるのとは違い、時間的な幅のある動作なので、音引きを長めに伸ばすことでそれを表現しています。

静かなシチュエーションも「描き文字」をプラスしてもっと伝わる表現に!

描き文字をどの部分に描くかで読者が状況を理解できる

静かな状況のとき、実際は音がないわけですが、マンガではそれも描き文字で表現します。無音の状態を表す表現法のなかでも有名なのが、メインビジュアルの「シーン」ではないでしょうか。この「シーン」は静かな状況ですが、かなり大きく描かれています。それはこの絵がギャグシーンであり、そのば全体が静まりかえっていることを明確に示したいから。またこの描き文字を画面上部に描くことで、この教室に教師以外誰もいないことを読者が瞬時に理解できるようになっています。

下の図には、静寂のなかで聞こえる小さな音も掲載。小さな音を文字でも小さく描くことで、その音がわずかに聞こえるくらい静かであることを読者に伝えることができます。時計の音「カチコチカチコチ」、足音「カツーン コツーン」などが代表的な例ですが、ほかにもいろいろあると思います。また緊張して言葉が出ない状態の「カチン コチン」などは、キャラクターの緊張度に合わせた大きさで描くようにしましょう。

★文字だけで印象は操作できる!? ★デジタルツールとアナログ道具で描く描き文字 ★漫画でよく見る「ときめく」の描き文字の種類とは ★音を奏でる時に使う描き文字とは?
などなど気になるタイトルが目白押し!

本書は文字例の多さはもちろんのこと、描き文字を漫画に当て込んだ例も豊富に取り入れて解説しています。実際どのくらい描き文字は漫画の表現力を高めるのか、ストーリーの印象が変化するのかを確認しながら、読者の皆さまが自分の作品にも取り入れていただけると嬉しく思います。

【書誌情報】
『漫画のプロが全力で教える「描き文字」の基本』
著者:東京デザイン専門学校

漫画や同人誌などをかく上で、キャラクターの心情や効果音などストーリーをより効果的に演出するためには、必要不可欠な「描き文字」。文字の大きさ、字体、レイアウトなど作風やシチュエーションに合わせてえがく描き文字は、文字なのでイラストより単純そうにみえて奥が深いゆえ、苦手意識を持つ人もいます。基本的な描き文字のかき方からわからない人、ある程度はかけるけど場面ごとのかき分けが得意ではない人、効果音のレパートリーが少なくて悩んでいる人、文字の配置やレイアウトが苦手な人など、本書はそのような描き文字に対するさまざまなお悩みポイントをおさえた一冊です。

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