足利・樺崎八幡宮 本殿を修復へ 東日本鉄道財団が支援

腐朽が進み修繕される樺崎八幡宮本殿

 【足利】市指定文化財の樺崎八幡宮(はちまんぐう)本殿がこのほど、東日本鉄道文化財団の地方文化事業支援の対象に選ばれ、約35年ぶりに修繕されることになった。保存修理はかつて1988~89年にかけて実施されたが、湿気やシロアリによる部材の腐朽が激しくなっていた。

 今回の修繕では、柱の腐った部分を新しい木材に替えたり、ひび割れを直したりする。修繕箇所には茶系のベンガラ色の木材保護塗料を塗って仕上げる。工期は8月まで。

 予算は約110万円。同財団の支援助成金50万円のほか、市と同八幡宮がそれぞれ29万円ほどを負担する。同時に市と同八幡宮が費用を出し合い、本殿北側の水はけを良くするための工事も行う。修繕した本殿は、10月の秋季例大祭で披露する。

 支援の決定を受け、同財団から樺樺崎八幡宮本殿等修復事業実行委員会への事業承認書贈呈式がこのほど、利保(かかぼ)町2丁目の北郷公民館ホールで行われた。提箸照之(さげはしてるゆき)委員長は「地元や氏子総代らと手を携えて保全に努め、しっかり守っていくことを誓う」と述べた。

 同八幡宮は国史跡樺崎寺跡の中にある。八幡神を勧請し、鑁阿(ばんな)寺を創建した足利義兼(あしかがよしかね)を合祀(ごうし)したのが始まりといわれる。現在の本殿は、江戸時代に足利尊氏(あしかがたかうじ)の子孫、喜連川氏(きつれがわし)が再建したとされる。

 同財団は93年から、JR東日本エリアの文化遺産や民俗芸能の保存、継承を支援している。本年度は同八幡宮のほか、鹿沼市の「鹿沼今宮神社祭の屋台行事」で使う「鳥居跡(とりいど)町屋台」の修復も支援事業に選ばれている。

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