投票所で性別暴露 長崎市選管、受け付け対応の見直しへ

長崎市選管の担当者から回答書を受け取った吉村さん(中央)=長崎市役所

 今春の統一地方選で、心と体の性が一致しない「トランスジェンダー」の20代有権者が長崎県長崎市内で投票した際、意に反して戸籍上の性別などを暴露された問題で、市選管は2日、投票受け付けマニュアルの見直しや係員への事前研修の充実を盛り込んだ回答書を有権者側に渡した。
 問題は、同市の吉村ゆうさん(22)=通名=が4月21日、期日前投票所を訪れた際、本人確認を担当した係員が威圧的に質問したほか、戸籍上の性別や本名を周囲に聞こえる声で発言。性自認などを本人の同意なく第三者に暴露する行為は「アウティング」とされ、吉村さんは先月、市選管に対応の改善を要望した。
 市選管は当日従事していた17人に聞き取り調査を実施。▽投票所入場券のバーコードが取り込めず、再発行のため名前と生年月日を確認▽投票者の性別の統計を取る投票用紙自動交付機の性別を示すボタンの押し間違いを防ぐため、隣の係員に性別を伝えた-という2点を把握した。
 市選管は今後、投票所受け付けのマニュアル見直しなどに取り組む予定。見直し後は吉村さんに確認する。回答書を受け吉村さんは「謝罪がなかったのは残念だが、しっかり前進していくという意志は感じた。当事者や専門家の意見を聞いて取り入れて」と話した。

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