大和堆へ決意の出漁 小木港、スルメイカ求め

家族らの見送りを受けて出漁する中型イカ釣り船=11日午前10時半、能登町小木港

  ●今夏、ロシア水域へ

 石川県漁協所属の中型イカ釣り船3隻が11日、能登半島沖の好漁場「大和堆(やまとたい)」周辺など日本海でのスルメイカ漁に向け、能登町小木港を出発した。水揚げ量の減少や燃料高騰、外国船籍の違法操業、北朝鮮のミサイル発射などの課題が山積する中、今夏にも2季ぶりにロシア側の排他的経済水域(EEZ)で操業できる見通しとなり、船員は不安と希望を抱えながら家族や仲間に巻き返しを誓った。

 出漁したのは第18興洋丸と第68徳洋丸、第68日章丸で、輪島市の猿山岬の沖合へ向かった。イカの群れを追いながら大和堆や北海道沖、山陰沖などに針路を取る。

 小木港には船員の家族や友人、県漁協職員が見送りに訪れ、船体に結び付けた紙テープを手に「気を付けて」「頑張れ」と声を掛けながら手を振った。大漁旗を掲げた船は激励に応えるように汽笛を鳴らし、スピーカーから演歌や歌謡曲を流しながら出港した。

 昨年度中に県漁協小木支所が取り扱った冷凍スルメイカの総水揚げ量は、前年度比24%減の1983トンで、過去10年間で2番目に少なかった。過去の外国船籍の不法操業で資源量自体が減っている上、ウクライナ侵攻による経済制裁の影響でロシアに送金できず、同国側のEEZに出漁できなかったことが響いた。

  ●2季ぶり

 今年度は手続きが進み、8月中旬にもロシア側のEEZでも操業できる方向となった。第18興洋丸の齋藤久哉船長(62)は「ロシア水域での漁は安全操業できるか心配だが、無事に操業できるならば行きたい。昨年度の不漁を挽回するためにも頑張る」と話した。

 県漁協に所属する中型イカ釣り船は計10隻で、11日には第23輪島丸など3隻も中継地の山形県酒田港から出漁した。残る3隻は今週中に小木を出港し、5月から北太平洋でアカイカ漁を行っている第58金剛丸も8月以降に合流する。スルメイカ漁は12月ごろまで続けられる。

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