8年前の流川メイドカフェ火災 飲食店に3600万円の支払いを命令 広島地裁

8年前、広島市の繁華街で3人が死亡するなどした雑居ビルの火事で、従業員などが死傷したメイドカフェの運営会社が、火災を起こした男性が当時勤務していた飲食店の運営会社に損害賠償を求める訴えを起こしていた裁判で、広島地裁は飲食店の運営会社に3600万円の損害賠償を命じる判決を言い渡しました。

この火事は、2015年10月、広島市中区のビルにあった飲食店の元店長が、ガスバーナーなどを使ってゴキブリを駆除しようとして段ボール箱などに火を燃え移らせたことによってビルを全焼させ、同じビルに入居していたメイドカフェの従業員と客の3人を死亡させ、3人にけがをさせたものです。

元店長の男性は重過失致死傷などの罪で禁錮3年、執行猶予5年の判決が確定しています。

メイドカフェの運営会社は、「ビルが全焼したことで店舗の営業ができなくなったうえ、インターネット掲示板に店への批判的な書き込みをされたことで、近くにあった別の店舗も撤退を余儀なくされた」などとして、元店長が働く飲食店の運営会社に対しておよそ4500万円の損害賠償を求めていました。

広島地裁の大浜寿美裁判長は、「火災によってビルが全焼したことで、店舗の営業をあきらめざるを得なくなり、損害が生じた」と認定。メイドカフェの1年分の利益にあたる2400万円と、弁護士費用など合わせて3600万円の支払いを命じました。

一方で、「別の店舗が営業停止になった主たる原因は不特定の第三者によるインターネットへの書き込みであり、飲食店の運営会社がこれを予見することは不可能」として、火災と、別の店舗が撤退したことの因果関係は認めませんでした。

© 株式会社中国放送