強制不妊、施設入所の条件に 結婚の前提、他手術と偽り

衆参両院の事務局から調査報告書原案を受け取った両院の厚労委員長(右列)=12日午後、国会

 旧優生保護法(1948~96年)下で障害者らに不妊手術が強制された問題を巡り、衆参両院の事務局は12日、立法経緯や被害実態に関する調査報告書原案を、両院の厚生労働委員長に提出し「概要」を公表した。福祉施設への入所や結婚の前提条件とされたり、他の手術と偽ったりした事例を確認。19日にも両院議長に内容を伝達し、全文が公表される見通し。

 国会による立法過程の調査は異例。負の歴史を検証し、優生思想の根絶に向けた教訓を得る狙いがある。

 調査は19年に議員立法で成立した被害者救済法に基づき、国や自治体、医療機関、福祉施設の保管資料などを20年から3年かけて分析した。

 自治体には6550人分の手術記録があった。手術の背景として(1)福祉施設の入所条件だった(2)経済状況から育児困難とされた(3)家族の意向―などを指摘。医療機関などへの調査では、他の手術と偽った事例が確認された。

 被害者アンケートでは40人中27人が「子どもができなくなる手術との説明を受けていない」と答えた。結婚の条件とされた人もいた。

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