マイナひも付け口座、公金支給で利用せず 神奈川県内自治体で相次ぐ 信頼「揺らいでいる」

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 マイナンバーと公的給付金受取口座のひも付けで誤登録が後を絶たない問題を巡り、自治体独自の判断で給付金支給時の利用を停止するケースが神奈川県内で相次いでいることが12日、分かった。業務継続は確認作業や問い合わせ対応が予想され、担当者は「マイナンバーに対する市民の信頼が揺らいでいる」と説明。市民サービスの最前線もトラブルによる混乱を懸念し、安全性を重視している姿勢が浮かび上がった。

 マイナンバーを巡っては、公的給付金の受取口座をひも付ける際、本人ではなく家族や同居人らの名義の口座を登録したとみられるケースが全国で約13万件に上ることが政府の点検で判明。マイナ保険証への別人情報のひも付けや、住民票の写しなどのコンビニ交付で他人の証明書を発行するといったトラブルも相次いで発覚した。

 こうした現状を受け、平塚市福祉総務課は「物価高騰対策給付金」の支給で受取口座としての利用を当面取りやめることを決定した。住民税非課税世帯など約2万7千世帯のうち約270世帯が対象で、7月の支給は通知書を送付して利用口座を確認するという。

 市は昨年11月の支給時にマイナンバーにひも付いた口座名義に誤りがないことを確認。今年も引き続き利用する予定だったが、相次ぐトラブルを踏まえて課の判断で停止を決めた。担当者は「マイナンバーに対する市民の不安に配慮した」などと説明。支給作業を続ければ問い合わせなどが増え、迅速な支給業務に影響すると判断した。今後の利用は正確性や状況を見極めて決めるという。

 同様の給付金で市内の約33万世帯を対象と見込む横浜市も、マイナンバーにひも付く公金受取口座を活用しない方向だ。市健康福祉局は、迅速な支給には市が保有する既存の口座データを活用した方がスムーズに進むと判断した。

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