<金口木舌>広報誌で伝える豊かな文化

 恩納間切(現恩納村)は1673年、金武間切と読谷山間切から12の村を分離して成立した。異なる文化圏が混ざり合うことで生まれた独特の風習が今も各地に残る

▼村の広報誌「広報おんな」には隔月掲載の名物コーナーがある。調査結果や収集した資料を元に、編さん係が豊かな文化や歴史を紹介する「村史編さんだより」だ。2008年9月1日の創刊号から15年続き、この5月で90回目を迎えた

▼当初は担当の幸喜邦恵さんがまとめ、印刷機で刷り、各区へ届けていたという。09年から広報誌で掲載された。毎回、内容は充実していて、読み応えは十分だ

▼「話題がたくさんあって、地域の人に支えられていると感じる」と幸喜さん。集落調査で「読んだよ」と声を掛けられ、時には掲載内容にアドバイスをもらうことも。村民と職員をつなぐ「窓」となっている

▼県内では近年、市町村史の担当部署を閉鎖したり、縮小したりする流れにある。その中で「編さんだより」が伝える地域行事の変化の記録や歴史資料は将来世代へ引き継ぐ財産となる。

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