窓口の聞こえにくさ解消 富山信金、全店に軟骨伝導イヤホン

試験的に導入された軟骨伝導イヤホン=富山信用金庫本店営業部

 高齢者らの窓口対応を円滑にするため富山信用金庫(富山市室町通り、山地清理事長)は、耳の軟骨を震わせることで音が鮮明に聞こえる「軟骨伝導イヤホン」を全27店に導入する。12日から本店営業部で試験的に利用し、順次拡大する。同信金によると北陸の金融機関で初の取り組み。

 「軟骨伝導」は空気の波が鼓膜を通じて内耳を震わせる仕組み。通常の音の聞こえ方「気導」、頭蓋骨を震わせる「骨伝導」に続く第3の聴覚経路とされる。開発されたイヤホンは音漏れが少なく圧迫感がない。相手の近くに置いた集音器が声を拾う。

 富山信金では新型コロナウイルス対策として窓口にアクリル板を設置し、職員はマスクを着用している。個人情報を含む内容は大声で会話しづらく、聴覚の衰えた高齢者らの対応が課題になっていた。担当者は「不便を解消することで、気軽に窓口を利用してもらいたい」と話す。

 イヤホンは全国の信用金庫がつくる「よい仕事おこしネットワーク」(事務局・城南信金)が全国の中小企業などに紹介している。

軟骨伝導イヤホンと集音器

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