【千葉魂】交流戦男、角中の本領 頼れるベテランも原点忘れず 千葉ロッテ

交流戦で好調の角中

 頼れるベテランとはこのような男の事を言うのであろう。6月10日のカープ戦(ZOZOマリンスタジアム)で存在感を見せつけたのが36歳の角中勝也外野手だ。昨年9月以来の本塁打を含む3安打3打点。チームをサヨナラ勝ちに導く活躍をみせた。

 「(ホームランの打席は)打つ前は、スライダーが来たら引っ張って、チェンジアップなら反対方向にというイメージ。まあ別にホームランバッターではないので、逆にその後の打席に気を付けた。どうしてもホームラン打った後は、引っ張りにかかって、状態が悪くなる選手って、たくさんいるので。その辺を気を付けました」

 試合後、本塁打についてメディアから聞かれた角中はサラッとそのように言ってのけた。それは首位打者を2度、獲得したことのあるベテランらしい含蓄のあるコメントだった。

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 今年はスタメン出場もあれば、終盤での代打出場もある。その中でチームの勝利のための打撃を模索する。ここぞの場面で力を発揮するために過去から溜めている引き出しが有効になる。この日の3安打は若き日に当時打撃コーチを務めていた金森栄治氏から教わったボディーターン打法を思い返し、原点回帰したことが功を奏したもの。大事にしている野球ノートに書いてあったことだ。

 「プロ2年目ぐらいから思いついたらノートに色々と箇条書きをしてきた。同じような状況になった時にパッと思い返せるように。野球って結局は良くなって、悪くなっての繰り返しだから。人によっては配球とかもメモしている人はいるけど、自分はそうではなくてチェックポイント中心。自分の中の引き出しを増やそうと始めたこと」と角中。

 プロ17年目、メモを書きためた野球ノートの存在が背番号「3」を支えている。そんな角中だが、今は趣味のゴルフのメモが増えていると笑う。

 「ドライバーを打つ時の心構えとか。どうやって構えて、どういう姿勢で打つかとか。最近だとこっちのメモの方が余裕で多いっス(笑)」

 仕事も趣味も日ごろの準備を怠らない。そしてこの影の取り組みが大事な時に生きている。努力の男らしいエピソードである。

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 これで交流戦は通算602打数203安打の打率3割3分7厘。マリーンズの誇る交流戦男の存在はここまで5勝6敗1分けとセ・リーグ相手に苦戦しているチームにあって頼もしい限りだ。

 そんな存在感たっぷりのベテランが夢見るのはリーグ優勝。「シーズンにおいての個人目標はない。優勝だけ」と断言する。だからチームの優勝のために献身的な日々を過ごす。

 「だって優勝旅行に行きたいじゃないですか。みんなで。憧れがある。楽しそうじゃないですか」と目を輝かせながらも「ちなみに、もうすでに12月の2週目はゴルフのコンペの予定があるので、日程的にそこだけは勘弁して欲しいです」とニヤリ。絶妙なジョークもまたこの男の魅力である。交流戦も残すところ2カード。名古屋、横浜と続く。背番号「3」から目が離せない。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

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