長崎市の新文化施設 市庁舎跡地が適切か、鈴木市長「整理必要」 県庁舎跡地活用など見極め

定例会見で市の現状や今後の市政運営について説明した鈴木市長=長崎市役所

 長崎県長崎市の鈴木史朗市長は12日の定例会見で、新たな文化施設を市庁舎跡地(桜町)に造る計画について、県庁舎跡地(江戸町)活用の議論や建設費高騰などの状況を見極め、建設地が適切か「再度整理する必要がある」との考えを示した。今後の検討次第で、市庁舎跡に他の施設を造り、別の場所に文化施設を整備する可能性にも言及。一方で市公会堂の廃止後、文化活動に支障が出ているとの声があり、鈴木市長は文化施設整備が「できるだけ遅れないようにする」と述べた。
 市は2026年度以降の完成を目指し、市議会6月定例会に設計費の予算案を提案予定だったが、今回は見送った。4月に就任した鈴木市長は会見で、市庁舎跡地は長崎駅周辺と浜町などまちなかエリアをつなぐ「重要なルート上にある」との認識を示し、まち全体のグランドデザインを描く中で「文化施設が最適なのか考えたい」と説明。「広場、情報発信、交流支援」の3機能を掲げる県庁舎跡地と「役割分担を考えていく」とも述べた。
 会見では、20日開会予定の定例市議会に提案する総額70億200万円の一般会計補正予算案2件など計32件を発表した。人口減対策を進めるため、「経済再生」や「少子化対策」に詳しい外部人材を政策顧問として5人程度登用し、これらと連携する部局横断のプロジェクトチーム(PT)を庁内に発足させる費用として900万円を計上。
 県長崎南北幹線道路整備に伴う平和公園のスポーツ施設再配置については、基本計画策定費として1千万円を盛り込んだ。陸上競技場の現地存続を求める団体の代表らを委員に含む「再検討部会」を新たに設置し、解決策を探り、議論の様子をインターネット上でライブ配信するなど透明性を高めるという。
 物価高騰対策でプレミアム付き電子商品券発行(12億9300万円)や、住民税非課税世帯などへの3万円給付事業(21億1700万円)なども計上した。
 市議会運営委員会は12日、会期を20日から7月7日までの18日間とすることを申し合わせた。一般質問は6月23日、26~28日の4日間。

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