安全と大漁願い、大海原へ 本県イカ釣り船団の出航式

大勢の人が見送った本県の中型イカ釣り船団出航式=酒田市・酒田港袖岡ふ頭

 本県中型イカ釣り船団(山形船友漁撈(ぎょろう)長会)の出航式が11日、酒田市の酒田港袖岡ふ頭で行われ、船団7隻のうち4隻が大漁旗と5色のテープをはためかせて日本海に出航した。燃料高騰に加え、北朝鮮のミサイル発射、外国船の違法操業など国際問題が渦巻く中で操業する。

 安全と大漁を祈祷し式典に臨んだ。船団長を務める第86若潮丸の漁労長本間健さん(67)=酒田市=は、あいさつで「これだけ多くの国際問題を抱え、イカを捕ることに専念できない状態が続くことはなかった」と語り、韓国側と安全な操業に向けた協議が進んでいる状況などを説明。「現場で最善を尽くし、他船団から負けない成績を残すのが山形船団の真骨頂。皆さんの思いを心に刻んで出漁する」と決意を口にした。

 県漁業協同組合の本間昭志組合長は「各船が船凍イカを満載して酒田港に入港してくれれば港は大いににぎわう。大漁と航海の安全を願う」と激励した。丸山至酒田市長は「船凍イカは本市水産業の目玉。1トンでも多く水揚げしてほしい」と期待を述べた。

 見送りに集まった人々は「頑張っての」「気をつけて」などと声をかけて手を振った。若潮丸に続き第23輪島丸、第31永宝丸、第68栄成丸も離岸。各船は港内を回り、汽笛を響かせて大海原に向かった。船団はいったん山口県沖に行き、スルメイカの群れを追いかけながら、北海道沖やロシア海域まで北上する。今年末ごろまで操業する見通しという。

 2022年度の本県の船凍イカの水揚げ量は479トン(約5億1千万円)。

市民らが5色のテープで船員を見送った本県中型イカ釣り船団の出航式=酒田市・酒田港袖岡ふ頭

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