小田原市のデジブラ城下町事業 反市長派が「税金の無駄」と反発 修正案で対抗へ

デジタル化推進を掲げる小田原市が昨年3月に小田原駅周辺に設置した大型デジタルサイネージ(電子掲示板)

 小田原市の守屋輝彦市長が目玉政策に掲げるデジタル化事業の一つに、批判の声が高まっている。市は電子掲示板(デジタルサイネージ)搭載のスマート街路灯を小田原城周辺に設置するなどの「デジブラ城下町」事業費約7億円を一般会計6月補正予算案に計上した。しかし、事業費内訳やランニングコスト、費用対効果が示されず反市長派の市議は「税金の無駄遣い」と反発。今後さらなる大型計画も構想されており、反市長派は15日の本会議に予算修正案を提出して対抗する考えだ。

 守屋市長は就任から「世界が憧れる街を目指し、デジタル化を推進エンジンにする」と訴えて国の補助金獲得を進めており、デジブラ事業は今年3月、デジタル庁の「デジタル田園都市国家構想交付金」に採択された。地方交付税措置も含めて事業費6億8千万円全額が実質的に国負担となるとして、市は補正予算案に事業費を計上した。

 同事業では、小田原駅から小田原城までの商店街約800メートルにスマート街路灯14基程度を設置。無料Wi─Fiや防犯カメラ、電子掲示板を搭載し、AIが判定した通行人の性別や年齢などの人流データを蓄積する。

 さらに市は、マイナンバーカードを市立図書館の利用者カードとして使用できる独自システムを構築するほか、マイナカードと連携して地域ポイントが付与されるスマートフォンアプリも開発するとしている。

 7日の市議会総務常任委員会で、市は「市民全体の幸福度を向上させる狙い」と説明したが、具体的な街路灯設置費用を明かさなかったことで議論が紛糾。「限られたエリアへの設置で市民の幸福度につながるのか」と疑問視する意見が相次いだ。先行的に街路灯を設置した東京・新宿を例に「新宿と小田原では駅利用者は桁違い。費用対効果はあるのか」と質問されると、市担当者は「地元商店街から設置要望があった。駅利用者数だけで効果を判断できない」と答えた。

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