富山県砺波市教育委員会は、市にゆかりのある奈良時代の豪族「利波臣志留志(となみのおみしるし)」の漫画本を作った。般若野(現庄東地域)を開墾し、米を東大寺の大仏建立のために寄進したことなど、歩みや功績をストーリー仕立てで紹介している。子どもたちに郷土の偉人について知ってもらうため、市内の全中学生に配布する。
B&G財団の補助金300万円を活用し、「ふるさとゆかりの偉人マンガの製作と活用検討委員会」を立ち上げ、約1年かけて完成させた。
3章構成で、役人の見習い時代の志留志が平城京で過ごした様子や、大仏建立の際に約180トンの米を寄贈したことのほか、功績が認められて現在の三重県知事に当たる伊賀国守を務めたことなどを紹介した。
同検討委員の鈴木景二富山大人文学部教授(59)と高志の国文学館の学芸員、大川原竜一係長(47)が監修。広告デザイン事務所のスクラムアートワークス代表取締役の中嶋和也さん(54)が編集し、砺波市在住のクリエーター、前田徹さん(63)が作画を担当した。
13日は鈴木教授ら4人が市役所を訪れ、夏野修市長に完成を報告した。鈴木教授は「分かりやすく仕上げた。素晴らしい郷土の歴史を知ってもらえればうれしい」と話し、前田さんは「当時の着物や散居村を描くのが大変だった」と苦労を明かした。夏野市長は「地元の子どもたちにとって誇りになる」とねぎらった。
B6判で104ページ。8千部印刷し、砺波、庄川両図書館や地区の公民館で読むことができる。