茨城・取手の双葉地区 マイカー水没で移動困難 車貸し出し開始 買い物、通院「助かる」

借りる車に傷がないか確認する利用者の男性(右)=13日午前10時24分、取手市双葉

台風2号や梅雨前線の影響による大雨で約600棟が浸水した茨城県取手市双葉地区で、多くの住民のマイカーが水没して移動が難しくなっている。地元の双葉自治会は13日、民間団体と連携して無料の車貸し出しサービスを開始。14日には食品スーパーによる移動販売も始まる。

「車がないと買い物にも、病院にも行けない。本当に困る」。マイカーが水没し修理に出しているという岡島章子さん(72)はため息をつく。

岡島さん宅は床上浸水の被害を受け、畳や風呂が使えなくなった。自宅庭に止めていたマイカーはタイヤが隠れるほど水に漬かり、修理を依頼したものの、いつ完了するか分からないという。

浸水被害後の買い物は友達や知人の車に同乗させてもらっているが、岡島さんは「いつも甘えてしまうのは申し訳ない」。通院はさらに頼みにくく、「夫の診療で月末には市外病院まで行く必要がある。本当に困った」とため息を漏らす。

車両の無料貸し出しサービスは、こうした住民を支援しようと、双葉自治会と一般社団法人「日本カーシェアリング協会」(宮城県石巻市)が提供。買い物や通院、片付けに活用してもらうのが狙いだ。

被災した双葉地区の住民は、乗用車や軽トラックを一定期間、保険料を含め無償で借りられる仕組みで、10月末まではガソリン代の負担だけで利用できる。

この日さっそく申し込んだ始関(しせき)蓮さん(24)は「バスが少ないので雨の日も30分歩いて出勤していた。疲れもたまっていたので助かる」と歓迎。田中賢太郎さん(48)も、借りた車で買い物へ。「生ものや冷凍食品を買うには、帰りのバスの時間を気にしなければならず大変だった。これで親を病院にも連れていける」と声を弾ませた。

自治会の中尾早苗会長は、ボランティアの協力に謝意を示した上で、「これから暑くなり、疲れも出てくる頃。できることを続けたい」と話した。

利用の申し込みは同協会の予約窓口(電)080(9635)4100。

また、同地区では14日から、自治会の要請を受けた食品スーパーが臨時の移動販売を開始予定。弁当をはじめ、生鮮食品や生活必需品など約650品目を積んだ専用車両が地区を回る予定となっている。

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