ChatGPTの次は−−注目集めるAI、世界と日本の関連銘柄5選

イーロン・マスク氏ら複数の投資家が設立し、サム・アルトマン氏がCEOを務めるAI研究団体「OpenAI」が、2022年11月に発表した、対話型の生成AI「ChatGPT」が大きな話題となっています。生成AI(Generative AI)とは、簡単にいってしまうと学習したデータをもとに、画像やキーワードを組み合わせてコンテンツを生成するAIです。

ChatGPTの発表から半年超たった現在、日本株を始め、世界的に半導体を含むAI関連株が大きく株価を押し上げています。マイクロソフトの検索エンジン「Bing」、グーグルの対話型AI「Bard」などが追随したこともあり、盛りあがりをみせています。

そこで今回は、ビッグテック以外の「AI(人工知能)」関連銘柄に絞り、世界と日本で5銘柄ずつピックアップしていきます。


組入上位銘柄にみる世界と日本のAI関連銘柄5選

いくつかのAI関連ファンドの組入銘柄をみると、上位はビッグテックが大きな比率をしめており、半導体関連などはとくに有名かもしれません。台湾のTSMC【TSM】、アメリカならエヌビディア【NVDA】、日本なら東京エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)、レーザーテック(6920)などが有名な銘柄となっています。

世界のAI関連銘柄5選

・C3.ai【AI】
オラクル出身のビリオネア、トム・シーベル氏が設立し、企業向けに人工知能のアプリケーションを迅速に展開できるSaaS(クラウドサーバー上にあるソフトを、インターネット経由で利用できるサービス)として、「C3 AIスイート」などを提供。企業の経営戦略に欠かせないDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させる、エンタープライズAIソフトウェアのリーディングカンパニーであり、話題性にあふれる小型株です。

・モンゴDB【MDB】
オープンソースデータベースである「MongoDB」を開発し、データベースプラットフォームを展開。クラウドベースで主に開発者向けに、迅速かつコスト効率よくアプリケーションの構築や、最新化を可能にするサービスやコンサルティングや管理サービスも提供しています。Amazonのクラウドサービス「AWS」の一部として提供されたり、エピック ゲームズの人気オンラインゲーム「Fortnite」もモンゴDBのプラットフォームで実行されたりしており、AI開発での活用も期待されています。

・オープン・テキスト【OTEX】
カナダを拠点とする情報管理会社で、ビジネスに不可欠な情報やプロセスをAIにより効率的に処理・自動化し、情報のハブとして活用できるソフトウェアやクラウドサービスを提供する企業です。法律、自動車、銀行、ヘルスケア、ライフサイエンス、公共部門、石油およびガスなどの多様な業界に、コストの削減、情報ガバナンス、セキュリティリスクの軽減を実現する包括的な製品とサービスを提供しています。人工知能関連銘柄のなかでは、安定性のある業績の中型株となっています。

・H&Rブロック【HRB】
米国大手の税務申告代理サービス会社で、税務ソフトウェアでトップクラスのシェアを持っています。カナダやオーストラリアなどで一般消費者向けに、AIを活用した確定申告書類の作成代行サービスを店舗内やオンライン上で行ったり、企業向け会計業務として会計士向けに税金ソフトウエアを提供しています。銀行口座をもたない個人向けのモバイルバンキングも開始し、特徴的で競争力のある中型株といえるでしょう。

・CSディスコ【LAW】
企業の法務部門、法律事務所、および政府機関向けに法務ソリューションを提供するリーガルテクノロジー企業です。人工知能(AI)とクラウドコンピューティングを法的な問題に適用し、資料の自動識別による最適化やケース管理の簡素化などを通し、迅速な問題解決を促進、クライアントの法的な成果の向上を支援しています。同社のツールは、訴訟、調査、コンプライアンス、ディリジェンスなど、さまざまな法的問題で使用され、小型株のなかでは知名度のある会社といえるでしょう。

日本のAI関連銘柄5選

・FRONTEO(2158)
AIを活用した、アメリカの訴訟証拠開示(ディスカバリ)支援を主力としています。独自に開発した言語系AIエンジンは、リーガル・ビジネス分野向けやライフサイエンスに特化してきました。また、業務効率化から経営判断までを支援するビジネスや、論文探索や創薬支援などを行うライフサイエンスも手掛けています。近年では経済安全保障分野への進出も開始しており、今期黒字転換が見込まれています。

・NTT(9432)
誰もが知る国内通信事業の最大手企業です。2023年度中にも、企業向けに独自開発した生成AIを展開するとの報道がされました。汎用的な生成AIを展開する米テック企業とは一線を画し、特化型の「和製AI」とも呼べるモデルで、金融や医療など分野に応じた専門知識を学習させ、顧客ニーズにきめ細かく対応する使い勝手と、運用コスト低減を強みとする戦略で対抗していくようです。

・PKSHA Technology(3993)
主に自然言語処理、画像認識、機械学習・深層学習技術を用いたAIアルゴリズム開発から、ChatGPTを含む対話自動化機能などを汎用化し、SaaS型で提供しています。小売・流通や自動車、銀行などさまざまな業界別のソリューションを提供し、2022年9月には市場区分をグロースからスタンダードへ変更しました。

・HEROZ(4382)
個人向けには頭脳ゲームなどのアプリケーションをスマートフォンやタブレット端末上で、企業向けにはさまざまな領域における機械学習等のAIサービスを提供しています。開発したAIが現役プロ棋士に勝利したり、「将棋ウォーズ」のような頭脳ゲーム(思考能力を用いて競うゲーム)の開発をしています。今期黒字転換が見込まれています。

・ヘッドウォータース(4011)
AIプラットフォーム運用、AIアプリケーション開発、ロボットアプリケーション開発、クラウドサービス運用などのAI関連事業を展開。企業の経営課題を解決するAIアプリケーションの企画と開発を行っています。黒字転換したことで、今後の業績にも注目が集まりまっています。

AI関連ファンド5選

AI関連といっても、個別銘柄のことはよくわからないという方でも活用できそうなのが、AI関連銘柄の投資信託です。国内で販売されている投資信託のうち、「AI」をキーワードで検索して抽出された純資産総額・上位5本を見ていきましょう。

AI関連の投資信託・純資産総額ランキング

「AI関連」というテーマを、どう捉えて投資信託を組成しているかは運用会社にもよりますが、組入銘柄の主な特徴としては、最先端の半導体チップを中心的存在とした次世代テクノロジー関連株を幅広くカバーしている印象を受けます。

たとえば、半導体の設計や製造、製造装置などの関連株、サーバーやネットワーク機器を設置するデータセンター、ヘルスケア、セキュリティー関連、インターネットを経由して利用できるソフトウェア関連、通信関連などの銘柄です。メジャーなAI関連インデックスとしては、SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)やナスダック100指数などが近しいイメージになります。

テーマ株への投資はリスク分散に注意

今回のように、AIというテーマに注目した投資は「テーマ株投資」といわれます。AI関連銘柄の将来性を考えると、話題性や継続性において期待のもてるテーマです。

とはいえ、テーマの影響力や深み、時代背景などに左右されるほか、一時的なブームに終わることもあるため、ひとつのテーマに資産を集中投下するのではなく、余裕資金で行うことが大切であり、分散投資のしやすい投資信託の活用も一手です。

近年では少額から幅広く、日本や米国株などに投資できるようになってきました。ファンドマネージャーのように、自分好みの企業だけを集めて、自分流で運用することも可能な時代です。リスク分散には注意をしながら、より楽しくなる、ワクワクするような資産運用にもチャレンジするのもいいでしょう。

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