栃木県、デジタル推進へ条例 基本理念、年度内に策定

栃木県庁

 栃木県は13日までに、デジタル化推進に向けた基本理念を明記した条例を年度内に策定する方針を固めた。急速に利用が広がる生成人工知能(AI)に対する考え方なども盛り込む見通し。安全な地域デジタル社会の構築を目指す。

 県は外部人材を招聘(しょうへい)するなどして県全体のデジタル化を急いでおり、2021年にはデジタル技術で県民と共に地域課題の解決を図る「とちぎデジタルハブ」を開設した。

 さらに今年9月からは対話型AIの「チャットGPT」の本格運用を予定。県内でも大半の市町がこうした生成型AIの導入を検討しており、行政の利用はさらに広がる見通しだ。

 一方で「デジタル人材の不足や機器を使うのが苦手な人への対応といった課題も生じている」(福田富一(ふくだとみかず)知事)。生成AIを巡っては情報漏洩(ろうえい)や著作権の侵害なども懸念されており、国がリスクや課題を議論している。

 県デジタル戦略課によると、条例ではこれら課題に対処しつつ、市町や県民などと一体となってデジタル社会の形成に目指していく県の基本姿勢を明確にするとしている。

 県はこれまでにデジタル化の指針「とちぎデジタル戦略」や、業務効率化を図る「県庁DX推進ビジョン」を策定しており、新条例はこれらも踏まえた内容になる見通し。全国では奈良県や浜松市が同様の条例を制定しており、先行例として参考にする考えという。

 福田知事は「全県民がデジタル化の恩恵を享受し、安心して快適に住み続けることができるように取り組みを進める」としている。

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