あきれた携帯ショップ店員、SIMカード詐取の実行犯に情報流す 店や在庫状況、身分確認情報も伝えていた

複合型商業施設でSIMカード詐取した疑い=さいたま市岩槻区

 今年3月、偽造した運転免許証でSIMカードを詐取したとして、ベトナム人の男3人が逮捕された事件で、埼玉県警国際捜査課と岩槻署の合同捜査班は13日、詐欺の疑いで、携帯電話ショップ店員の男(37)を新たに共犯者として逮捕した。男は仕事上で知り得た店舗情報などをベトナム人の実行役に流していたとみて、県警が詳しい経緯を調べている。

 逮捕容疑は共謀の上、昨年11月28日午後1~2時ごろ、さいたま市岩槻区の複合型商業施設で、携帯電話ショップ代理店社員に対して他人名義の運転免許証を提示。SIMカード3枚をだまし取った疑い。県警は共犯事件のため、捜査に支障があるとして、認否を明らかにしていない。

 県警は昨年から今年3月にかけ、現場にいた実行役のベトナム人3人を逮捕。容疑者の通信履歴や関係者への聴取などから、指南役とみられる男が浮上した。

 国際捜査課によると、男は携帯電話ショップを運営する会社から県内の店舗に派遣され勤務していた。今回被害に遭った店舗は異なるが、通信事業者は同一だという。男は店員という立場を悪用して、実行犯が容易に犯行に及べるように、出張店舗情報やスマートフォンの在庫状況、身分確認方法の情報などを提供していた。

 男らは実在する別のベトナム人名義の運転免許証の氏名や生年月日の一部を変造。他人に成り済まして提示する手口でSIMカードを不正取得していた。県警は男が指南役として、同様の余罪があるとみている。詐取したSIMカードは、違法買取業者や不法滞在者への転売、特殊詐欺グループへ提供されている可能性があり、全容解明を進めている。

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