鹿島セントラルホテル売却へ 7月公募 民間運営目指す

民間への売却が検討されている鹿島セントラルホテルの新館=神栖市大野原

茨城県などが出資する鹿島都市開発(中川欽正社長)が運営する鹿島セントラルホテル(同県神栖市大野原)について、県が民間への売却を検討していることが14日、複数の関係者への取材で分かった。将来的な維持管理費などを踏まえ、民間のノウハウを取り入れた経営刷新が必要と判断したものとみられる。来月にも公募を始め、早ければ来春には新法人による運営を始めたい考えだ。

鹿島都市開発は資本金約14億8千万円のうち、県が46.8%を出資する第三セクター。売却が検討されているのは同ホテルの本館、新館、温浴施設とその土地。ホテル部門以外の施設管理や不動産、設計開発の各部門は引き続き鹿島都市開発に残る見通し。

複数の関係者によると、県は新型コロナウイルスの影響で宿泊者数が減った上、将来の施設改修などの維持管理費に多くの費用がかかると試算。売却を巡り、既に十数社が関心を示しているという。

同ホテル周辺には、サッカー・J1鹿島アントラーズのホームスタジアムや多くの企業、工場などが立地している。売却によって民間のノウハウを活用し、施設の魅力や価値の向上を図ることで採算ベースに乗せ、長期的な事業継続につなげたい考え。

売却先については、価格だけでなく、提案内容や事業計画を総合的に判断する「公募型プロポーザル」を採用する方針。参加条件としては、ホテル従業員の継続雇用、5年間の所有権移転の禁止、バスターミナル機能の維持などを挙げているとみられる。

今後、7~10月に公募し、11月に優先交渉権の企業を選定、県議会への選定結果の説明を経て、来春の県議会で売却の承認を得たい考え。順調に進めば、来年4月には新法人による運営が始まる見込みだ。

同ホテルは1972年6月1日に本館がオープン。サッカー・ワールドカップ日韓大会前の2000年6月12日に新館が開業した。結婚式場や宴会場などを備え、鹿行地域の代表的なホテルの一つとして位置付けられている。

今年2月に公表された県出資法人を対象とした22年度経営評価結果によると、鹿島都市開発は唯一、4段階のうち最も低い「大いに改善を要する」に該当していた。

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