茨城・取手の双葉地区 被災の幼稚園、いつ再開 110人、自宅待機や分散保育

水に漬かったアルバムなどを乾かす元職員の女性たち=取手市双葉

台風2号や梅雨前線による大雨の影響で、約600棟が浸水した茨城県取手市双葉地区にある認定こども園「つつみ幼稚園」の再開見通しが立っていない。思い出の品は水に漬かり、園児たちは分散保育や自宅待機。保護者から「一日も早い再開を」と声が上がる中、復旧に向けた職員らの奮闘が続いている。

園児たちのまぶしい笑顔を収めたアルバム、園舎前で撮影した記念写真、子どもが遊んだおもちゃの数々。同市双葉3丁目のつつみ幼稚園の教室に、水にぬれた「思い出」が並ぶ。

同園は3日未明から敷地内に水が入り込み、教室は大人の膝近くまで漬かった。職員総出の片付け作業を支援しようと、10日には大勢のボランティアが駆け付け、汚れた園庭の土を除去したり、内壁を剥がしたりして復旧に取り組んだ。元職員も手伝いを買って出て、思い出の詰まった品々を乾かす作業を続ける。

同園は1968年に開設し、双葉地区の発展と歩みを重ねるように歴史を刻んできた。同園によると、これまでの卒園生は約5千人に上るという。

110人が在籍する(1日現在)同園は、地区外の保育所や幼稚園を間借りして園児受け入れを開始したが、一部の園児は自宅待機が続いている。再開時期は見通せず、今月の授業参観も中止が決まった。

次男を通わせる高橋歩さん(32)は「子どもが『幼稚園はまだ?』と尋ねてくる。楽しみにしているようだ。保護者もみんな、一日も早い再開を願っている」と話した。

再開に向け職員の奮闘は今も続く。理事長の千葉和子さん(81)は「子どもがいてこその園」と力を込め、年少クラスを受け持つ高山友希さん(26)は「再開に向けて、最大限の努力をしていきたい」と固い決意をにじませた。

同園は7月上旬、日立市内で1泊する園外活動を企画。それまでに再開できるかどうかは分からないが、予定のキャンセルはしておらず、実現の可能性を最後まで探りたい考えだ。

千葉さんは「やればできる、できるところまで頑張る」。子どもたちに一貫して教え続けてきた努力の大切さを、今は自分に言い聞かせている。

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