首相、今国会の衆院解散見送り 賃上げ実現・子育て政策優先

首相官邸で今国会中の衆院解散見送りの意向を表明した岸田首相(右)と立憲民主党の会合であいさつする泉代表=15日午後

 岸田文雄首相は15日、会期末を21日に迎える今国会中の衆院解散を見送る意向を表明した。官邸で記者団に、賃上げの実現や子育て政策、外交課題を優先する考えを示した。立憲民主党の泉健太代表は、岸田内閣に対する不信任決議案を16日に衆院へ提出する方針を固めた。防衛財源確保の特別措置法案やLGBT理解増進法案が参院本会議で成立した後に出す方向で調整している。首相は不信任案を粛々と否決するよう自民党の茂木敏充幹事長に指示した。

 岸田政権はマイナンバーカードを巡る問題が相次ぎ発覚。衆院選の候補者調整を巡る自民、公明両党の対立で、東京での選挙協力が解消された。選挙情勢の悪化が解散先送りの判断に影響したとみられる。夏以降の次期衆院選を見据え、今後の戦略を練り直す。

 官邸で首相は「複雑化する国際情勢の対応、持続的な賃上げの実現、子ども子育て戦略の実行をまずは前に進めていかなければならない」と強調。「今国会での解散は考えていない」と明言した。

岸田文雄首相

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