神戸・旧居留地エリアの空き店舗を、歴史と現在を感じられるアート空間に変身させる。そんな取り組みを、大丸神戸店(神戸市中央区)が始めた。「新居留地」をテーマに、空いた路面店を公共スペースとして展示・開放。淡路瓦や軽量鉄骨を配したユニークな空間が、街並みに新たな表情を与えている。
設計事務所「DAIKEI MILLS(ダイケイミルズ)」(東京)の中村圭佑代表(39)が進める、空き物件を占有して開放空間をつくり出すプロジェクト「SKWAT(スクワット)」と協力。テナントが移転して空いている路面店3区画のうち、1区画を14日にオープンさせた。残る2区画も2週間ごとに順次、公共スペースとして開いていく。展示・開放は次のテナントが入るまで継続する予定だ。
中村さんによると、明治時代にイギリス人土木技師が設計した図面を参考に、当時その場所に存在した建物と同じ場所に瓦屋根を配置。当時の区画番号を示す数字を工事用照明で表現し、休憩できるベンチなどは軽量鉄骨で作った。新店が入る際は、資材として再利用できるという。
中村さんは「遊休スペースへ新しい価値を吹き込みたい。居留地の歴史を、若い人が知るきっかけになればうれしい」と話している。(広岡磨璃)