京都のパタゴニアに、中古品が並ぶワケ「買わない選択肢も」

アウトドアブランド「パタゴニア 京都」(京都市下京区)に、ずらりと並ぶ中古品の数々・・・理由は現在開催されている「新品よりもずっといい」をコンセプトにしたイベントにあった。普段販売している新品の横で、「中古品」を並べるという一風変わったポップアップを取材した。

「パタゴニア 京都」(京都市下京区)の店内

■ 渋谷で開催された第1弾は、入店待ちが出るほど

「必要ないモノは買わないで」「修理は急進的な行為」などと、普段「売ること」を目的としたお店では見かけないであろう文言が掲げられる店内。6月8日からスタートした『Worn Wear ポップアップストア』は、新品を買う前に身近にあるもの、またかつて使われていたものに改めて焦点を当てるイベントだ。

『Worn Wear ポップアップストア パタゴニア 京都』の様子

今回の京都での開催が2回目。東京・渋谷で開催された初回は入店待ちが出るほどの反響があったといい、「今回も想像を上回る反響で、開催をみなさん喜んでくださっています」と、笑顔を見せるのは同イベントの企画を担当する平田さん。

同ポップアップでは中古品のほか、アップサイクルから生まれた一点ものの「リクラフテッド製品」も並ぶ

■ 意外と長寿な「リサイクルボックス」は会話を生む場所

店内で販売されている「中古品」はこれまで「リサイクルボックス」で回収された古着、また実験的にオンラインでの買い取りから集められたアイテムで、元値の約4割(アイテムにより異なる)で販売されている。

「リサイクルボックス」の前では、スタッフが「これ、まだ着れると思いますよ!」というアドバイスをすることもあるという

「リサイクルボックス」に関しては案外知られていないが、約20年前からおこなわれているプロジェクトで、「お気に入りだったけどサイズアウトしてしまった」「ファーストパタゴニア(最初に買ったパタゴニア製品はそう呼ぶそう)のパンツ」など、それぞれの思い出も集う場所。スタッフにとってはお客さんとの「会話が生まれる場所」でもあるんだとか。

過去にリサイクルに出された商品にユニークな修繕を施したという

今回のポップアップではそんな「リサイクルボックス」が入り口付近に設置されているため、その奥のラックに並ぶ中古品が「どこから来たのか?」を想像しやすい造りになっている。「リサイクルボックス」をはじめ、こういったイベントは将来的に「リユース」を形化していくための取り組みのひとつでもあるそうだ。

■「ほんまに必要なのか?」考え直すきっかけに

広報のロジャースさんは、「パタゴニアの製品を手にとって欲しいという思いはありますが、買う前にほんまに自分にとって必要なのかな? ともう一度考え直すきっかけになれば。新品を買わない選択肢として、『今あるものを最大限に使う』というのは重要なことなんです」と話す。

店内に並ぶ「リクラフテッド製品」の一部には、手書きのメッセージカードも添えられている

続いて「こういったポップアップは、一点もののリクラフテッド(修繕が施された中古品)があったり、懐かしい製品があったりで楽しいんです。でもそこで必要ないものまでたくさん買ってしまうと意味がなくなってしまうので、1人2点までにさせていただいるんです」と、独自の見解も明かす。

目ぼしい製品が並ぶポップアップのなかで、どれを買うべきか? また買わないという選択肢もあり。じっくり考える必要がありそうだ。

期間は6月20日まで。6月17・18日には同店舗にて『Worn Wearリペアイベント』や『漆塗りカトラリーワークショップ』(17日のみ)など、イベントも開催される。詳細は公式サイトにて。営業時間は昼11時~夜7時。

『Worn Wear ポップアップストア パタゴニア京都』

会場:パタゴニア 京都(京都府京都市下京区立売東町23番地 四条通り)
期間:6月8日(木)〜20日(火)

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