大勝で第二次政権初白星の森保一監督、実力差認めるも「アグレッシブな姿勢が流れを良くした」

[写真:Getty Images]

日本代表を率いる森保一監督が、エルサルバドル代表戦を振り返った。

今年3月に行われたウルグアイ代表、コロンビア代表との国際親善試合を1分け1敗でスタート。今回のインターナショナルマッチウィークでは森保第二次政権での初白星を目指した。

15日にエルサルバドルを豊田スタジアムで迎え撃ったこの試合では開始1分にセットプレーから谷口彰悟が決めたゴールで電光石火の先制点を奪うと、直後には相手DFロナルド・ロドリゲスのミスを突いた上田綺世がPKを獲得するとともに、退場に追い込む。これを上田自ら決めて追加点を奪取。

これで2点のリードに加え、数的優位を手にした日本はここから圧巻のゴールラッシュ。前半に久保建英、堂安律のゴール、後半は中村敬斗、古橋亨梧と途中出場のアタッカー陣がいずれもゴールをこじ開け、格下相手に6-0の完勝。森保第二次政権での初白星を手にした。

同試合後、公式会見に出席した森保監督は、対戦相手との実力差を認めながら、アグレッシブにゴールへ向かっていこうという姿勢を見せたチームの姿勢に満足感を示した。

「まずはこの試合に向けて選手、スタッフ、全員が3月の代表選の反省を踏まえてどういう試合に向けての準備をしたらいいかをチームで考えて最善の準備ができたことが良かったと思います」

「試合の結果を見れば大勝で力の差があったり、11対10で当たり前に思われるかもしれませんが、アグレッシブに積極的にゴールに向かっていこうという姿勢が試合の流れを良くしたと思いますので、選手たちの試合に懸ける思いが結果を良くしたと思います」

「3月に勝利できなかったので、サポーターの皆さんと勝利を分かち合えたことは嬉しいですし、スタジアムに来てくださったサポーターの皆さん、メディアを通して応援してくださった皆さんのおかげだと思いますので感謝申し上げたいです。ありがとうございます」

その後の質疑応答では未勝利に終わった3月の2試合の反省や試合の進め方、多士済々のアタッカー陣の起用法などについて言及している。

「まずは試合展開というか、この試合に向けての理想と想像のところで言うと、我々が押し込んだ試合にしたいということで、試合の準備をして、選手たちが良い入りをしてくれました。相手が退場したので評価するのは難しい部分もありますが、球際で勝っていく、ボール保持者もゴールに向かう、オフ・ザ・ボールの選手もそれに絡むという部分では、相手が11人でもできたのではないかと思います」

「10人でより守備的になるところでも我々がこの試合へ準備してきたことが表現できたことは、次につながっていくものかなと思います。相手が10人になったというより、自分たちが練習でやった形が出せたことがポジティブ。今日できたことをさらにできるように、すべての部分でレベルアップしていけるように。これからということで、ペルー戦は間違いなくスピード、強度ともに今日の試合とは違う激しく厳しいハイスピードな試合になると思うので、今日の試合を自信にしつつも、おごることはなくさらに厳しい試合に向かっていきたい」

「(3月からの反省について)反省という部分で言うとボールを保持しながら試合をコントロールして勝利の確率を上げていきたいということで、3月もこの6月も練習をした中で、3月と6月の違いはより縦に速く、ボールを動かすことを多くしようと準備していました。ボールを大切にするマインドは捨てずに、でも縦に。縦に推進力をもって攻めていく部分、コーチ陣が選手たちに働きかけてくれて、選手たちもクリアなイメージでやってくれました」

「前回の3月シリーズでも得点はクロスからだったと思います。優先順位は中央を素早く崩せるならそこを狙っていく優先順位を持ちながら、我々の強みとしてサイドに良い選手がいることを強みとしてサイド攻撃でチャンスを作る、得点を奪うということを選手に表現してもらおうとしています」

「トレーニングでコーチに指導してもらいながら、チームのコンセプトをスタッフで起用して、ニアに入るのか、プラスセカンドも含めてトレーニングで良い形で落とし込んでくれたなと思います。今回は自主トレも含めてトレーニングの回数が取れたのでそういう意味ではコンセプトのサイドからのクロスにどういう質のボールを入れるか、どこに入って行くかをトレーニングでやったことがチームの共通認識になって形に表れたかなと思います」

また、森保監督はこの試合で試した久保と堂安の右のユニット、旗手と三笘の左のユニットを含め、前線の組み合わせの狙いや交代策についても説明。

「基本的なポジションがありながら流動的にローテーションを使いながら戦っていくということはトレーニングでもやっていて、ミーティングでも確認しながらやって、右サイド、ウイング、右サイドハーフ、左もローテーションしながら非常に意思疎通が取れていて、良い形になっていたなと思っています。選手たちが戦術はもちろん大切ですけど、一つのオプションとしてまずはスタートポジションから個の繋がりを良くする。相手を混乱させる、崩していくために次のオプションを使うという優先順位の中で。左サイドは川崎フロンターレで以前プレーしていたと思います(笑)。もちろんすぐに以前のようにとは難しい中で、非常に良いプレーをしてくれたと思います」

「チーム力を上げていく、チームとしての戦いの幅を広げていく部分で今日の布陣を考えて送り出しました。今後我々がいろんな成長をしていく中で、一つの布陣ということで考えて決めました。評価については、二人ともゴールを決めるというふうに、日本の強みは2列目の選手が得点を奪えること。結果を出す部分ではこれまでと違った得点を決められる2列目だと全体的にアピールしてくれている中、今日の試合で代表でも得点を奪ってもらいたいと送り出した中、ゴールという結果を出してくれたことは期待していたことを選手たちが示してくれたと思います」

「チャンスにも数多く絡んでいて、本人たちの攻撃の特徴を出してくれたと思います。3選手とも相手がロングボールを入れてくる展開になった時に攻め残りすることなくプレスバックしてセカンドボールを拾ったり、守から攻へと考えて、献身的にチームとして攻撃の良さを出してくれたと思います」

「(後半の用兵について)形は同じ形で送り出しましたが選手の特徴は違うので、特徴を出そうということで違う形のように映ったのかなと思います。今回の[4-1-4-1]でベースに個々の役割がありながらも特徴を生かすことで戦えたことは、同じ戦いでも個の良さを発揮することは続けていきたいと思います」

「試合展開によってですが、試合の後半の交代については試合前にトライしていたこととだいぶ変えたかなと。経験の浅い選手を投入することを考えていましたが、勝ちにいかないといけないとき、もしかしたら追いかける展開かもしれない。試合の流れも選手たちが頑張ってくれてより経験の浅い選手を投入して、国際舞台という経験を踏まえてより“不明瞭”ということで判断を変えて起用しました」

また、代表初ゴールを挙げた上田に加え、セルティックでの活躍に加え、この試合でも目に見える結果を残した古橋らの活躍で熾烈極まるストライカー陣のポジション争いについては、「ゴールを決められる選手」の起用を優先順位の一番としていると語った。

「FWはやはりFW陣にはやはり点を取ってもらいたい。そういう意味では選手が点を取り続けてポジション争いも激しいものになると思うので、難しい選択になると思う。綺世は初ゴールで、これまでなかなか決められないところがあったが、このゴールで肩の力が抜けることを期待したい。優先順位の一番はゴールを決められる選手がFWでということはしっかり見ながら選手起用に繋げていきたいと思います」

3試合目にして森保第二政権初白星を手にした日本は、20日にパナソニックスタジアム吹田でペルー代表と対戦する。

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