完全なる自動運転社会の肝となる“ICV”とは? 世界で加熱する自動運転開発

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。6月2日(金)放送「New global」のコーナーでは、世界的に開発が進む注目の“ICV”について取り上げました。

◆完全なる自動運転社会の肝となる"ICV”とは?

アメリカの電気自動車大手「テスラ」のイーロン・マスクCEOが3年ぶりに訪中し、秦剛外相と会談。電気自動車などの新エネルギー車や人工知能などを導入し自動運転を可能にする「ICV」の開発について意見交換したということです。

いまや中国は世界最大の電気自動車市場になり、自動運転を前提としたモビリティ社会に向け開発を進めています。

ICV(インテリジェント・コネクテッド・ビークル)とは、自動車とモノ(自動車・道路・人・クラウドなど)の間のスマートな交信・情報共有を可能とし、人工知能による安全で快適な自動運転機能を備えた次世代自動車のことで、「完全なる自動運転社会」を意味しています。

キャスターの堀潤曰く、中国では自動運転を前提にインフラを設計する大規模な街づくり計画を打ち出していて、その社会では自動車が完全に自立。他の自動車と交信ができ、街で自動車を管理していくため交通事故が起きにくく、エネルギーの分配も効率的になるなど、メリットは多数。

そして、その中核となる自動車を誰が開発していくのかというところで、今回イーロン・マスク氏は訪中し、共同参画することや製造拠点を中国国内に作ることなどを話し合ったそうです。また、そうした社会ではサイバーアタックに晒されやすいという懸念もあり、どうセキュリティを担保していくのかという話もあったということです。

◆ICV社会の実現は先進国では難しい!?

こうしたテスラの動きの一方で、ドイツのフォルクスワーゲンは中国に10億ユーロの投資を決定し、ICV関連会社を設立。一方、日本のトヨタは中国法人が上海で初めて高速道路でのICV試験運転許可を取得したという状況です。

株式会社POTETO Media代表取締役の古井康介さんは「いわゆる自動車だけの話ではなく、人々の移動も含めた街全体の話になっていて、今後は車どうこうではなく、どんな街で生きていくのか、そのデザインで考えていくというのはワクワクする話」と目を輝かせます。

堀によると、すでにトラックやタクシーなど運輸関係の車両の比率を決め、ICV社会のなかでどう配置するかという検討も始まっているそうで、街が完成した暁には、例えば道路には絶えず何かが走り回り、救急車を呼ぼうと思った際にも来た車に乗れば自動的に病院に連れて行ってくれる、そんな世界観になると解説します。

コラムニストの河崎環さんは、これはビジネスチャンスとしつつも「新興国だから考えられるというのはある」と話します。なぜなら、新興国はシステムなどまだ全てが出来上がっておらず、国土も広いとし、「日本においてこういうことが出来るとなると、どういうチャンスがあれば出来るのか」と河崎さん。

これには堀も「ICVは街づくりと一体なので、既存の仕組みが出来上がっている先進国ではなかなか難しい」と同意します。

なお、ICV社会に向けての取り組みのなかで先進国が今やるべきこととしては、人間でも迷うような標識や道路設計を変えることだそう。というのも、人間が迷うならばAIも迷ってしまうから。

また、人間が運転する車が誤って侵入禁止の道に入ってしまった場合、誰も見ていなければ進んでしまうこともあり得ますが、AIはどうなのか。例えば、それが緊急事態、交通法を破ることで危機を回避できるという状況だったとしたら、交通法を遵守するAIがどんな判断を下すのか、といった問題も現在議論されているそうです。

日本では完全自動運転を目指しているスタートアップが誕生しており、そういった新しい新興勢力を育てることができるかは我々の社会のあり方に関わっていると、堀は提起していました。

※この番組の記事一覧を見る

<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

© TOKYO MX