速い潮の流れが育てた「城ケ崎サーモン」沖のいけす育ち 適度な脂で味わいさっぱり【しずおか産】

<肴屋大ちゃん 山本大輔さん>

「いい意味で脂乗りすぎてなくてすごくおいしいですよね。身の味がしっかり楽しめる。なかなかいいんじゃないんですかね。何やってもおいしいですね」

静岡伊東市富戸にある飲食店「肴屋大ちゃん」。料理人も太鼓判を押す味のサーモンが今回のしずおか産です。

伊東の海で育った養殖サーモン。「城ケ崎サーモン」と名付け、ブランド化を目指しています。

このサーモンを育てているのは、富戸漁港の沖合約800m。定置網のそばにあるのは養殖用のいけすです。

<城ケ崎海岸 富戸定置網 日吉直人代表>

Q.このいけすには何匹くらい?

「900匹くらい入っている」

普段は定置網漁をしているこの会社では、近年人気の高いサーモンを売り出そうと、県の水産試験場の技術指導を受けながら試験養殖を始めました。2023年2月から育て始め、20cmほどだったサーモンは4か月で約60cm、1.5kgほどに成長しました。

サーモンは富士宮の養殖場から仕入れたもの。海での養殖は国内外で行われていますが、外洋に面した場所での養殖は珍しいといいます。

<城ケ崎海岸 富戸定置網 日吉直人代表>

「あそこでやることに意味があって、潮も速かったり潮流が速いので魚が常に泳ぎ続けなきゃいけないし、運動量も増すということで相当いい身質になると聞いています」

「城ケ崎サーモン」のこだわりはエサにも。魚粉などを固めたペレットのほかに小さな魚も与えています。この魚は定置網で獲れた出荷できなかった魚です。エサを調整することで、脂の乗りすぎないすっきりした味わいに。この取り組みは地元の水産加工会社も期待を寄せています。

<三浦水産 鮮魚部 川上嘉夫さん>

「これはアルコール凍結機。アルコール液で品物を凍らせる機械」

アルコール冷凍機は加工した魚を瞬間冷凍できる装置です。地元の飲食店と意見交換しながら「城ケ崎サーモン」の可能性を探っています。

<三浦水産 三浦永林専務>

「地域のブランドになる可能性が大いにある食材だと思っています。この大切な資源を弊社ができる技術を使ってより多くの人に知っていただき、食べていただきたい。そう思っている」

適度な脂でさっぱりしているため、さまざまな料理に対応可能、冷凍技術によってより多くの人に届けることが可能になりました。その味は、すでに都内の有名料理店からも注目されています。

<城ケ崎海岸 富戸定置網 日吉直人代表>

「普段は定置網で獲った魚の漁業収益だけだったんですけど、今回は外洋での畜養や養殖で漁業所得をあげられればと思っている。サーモンはお子さんに人気なので城ケ崎海岸地区にいっぱい観光客が(来て)、1つのツールとして呼び込むようにしたい」

2023年の11月に次のサーモンを入れる予定になっていて、24年の本格出荷を目指しています。

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