特殊詐欺の被害を未然に防いだとして、兵庫県警赤穂署は、ファミリーマート赤穂加里屋中洲店の引本寿美(すみ)店長(57)に署長感謝状を贈った。電子マネーを購入しようとした被害者は説得を拒んで別の店舗に向かったが、引本さんは諦めず、すぐに警察に情報を伝えて対応してもらったという。
同署や引本さんによると4月19日午前9時半ごろ、80代の男性が同店で、3万円分の電子マネーをアマゾンギフトカードで購入したいと申し出た。「ギフトカードがどういうものか分からない。教えてほしい」と言う男性に対し、引本さんが購入理由を尋ねると「知り合いにプレゼントする」と話したという。
「日本円ではなくドルはあるか」と尋ねる男性に、詐欺だと確信した引本さん。別のスタッフと説得を試みたが、男性は携帯を手に「早く番号を言ってあげないと飛行機に乗れない」「自己責任なので買います」と焦った様子で聞き入れなかったという。
説得を続けると「もういいです」と店を出て行った。別の店で買うつもりだと思った引本さんは、すぐに赤穂署に電話をかけ、男性の車の特徴を伝えた。署員らは市内全てのコンビニを警戒し、他店舗で購入直前だった男性に声をかけ、被害を食い止めた。
同署の調べで、男性は「国際ロマンス詐欺」の被害に遭っていたと分かった。サイトで知り合った女性から、来日するための費用を求められていたという。
引本さんは「生まれ育った赤穂で、毎日たくさんの人に接しているので、少しでも役に立てたらと普段から声をかけている」と話した。(小谷千穂)