初出場の桂川有人 2ボギー先行から「お腹をギュッ!」で1アンダー発進

後半に3つ伸ばして1アンダーでホールアウトした桂川有人(撮影/中野義昌)

◇メジャー第3戦◇全米オープン 初日(15日)◇ロサンゼルスCC(カリフォルニア州)◇7423yd(パー70)

時折小雨がパラつくどんよりとした雲り空のもと、初出場の桂川有人は午前6時56分に1番からスタート。4バーディ、3ボギーの「69」で1アンダーとし、目標としていたアンダーパーで上がってきた。

「すごい不安です、80打っちゃうんじゃないか」と前日に語っていたが、この日はしぶといゴルフで18ホールを回り切った。前半アウトは2ボギーとスコアを落としながらも、ピンチをしのぎ続けて大崩れを防いだ。出だしの1番(パー5)ではグリーン奥から難しい逆目からのアプローチを寄せてパーセーブ。6番もティショットをミスしたが、3.5mのパーパットをねじ込んで簡単にスコアを落とさない。

後半に入るとチャンスが増え、16番までに4つのバーディを奪って盛り返す。特にこの日はパットが冴え渡り、10番では「あまり得意なラインじゃない」という3mの下りスライスラインを読み切って最初のバーディ。12番も2mのチャンスを決めると、13番では3.5mのしびれるパーパットを入れて力強くこぶしを握りしめた。

15番(パー3)では6m強の下りスライスラインを流し込んで3つ目。529ydと距離のある16番も2mのバーディチャンスをしっかりと沈めた。この日のストローク・ゲインド・パッティング(パットの貢献度)は+1.91と、まさにパットで演出したアンダーパーだった。

初出場の大会初日をアンダーパーにまとめた(撮影/中野義昌)

今シーズンは長らくパットとアプローチに悩んできたが、パット復調のきっかけは試合中に突如、訪れた。「10番ホールのグリーンで急に思い出して、アドレスで体幹をギュッと締める感じをやってみたんです。お腹のあたりの筋肉を締める感じ。これまでは体が固まってしまうと思ってやっていなかったんですが、やってみたら急に転がりと距離感が変わった」と振り返る。アドレスを変えたことで後半はタッチが安定。続く距離のある11番パー3(254yd設定)の20m近いロングハットを1m弱に寄せたことで、つかみかけた感覚を確信に変えた。

「試合でやってみて気づくことはやっぱりあって、練習ラウンドだと分からないところはある。試合中は常にいろんなことを考えてやっていて、『このアドレス入りそう』と試合だからひらめくものがあります」

メジャー初日で上々の滑り出しを見せたが、「ちょっと自信が持てました」と謙虚な姿勢は変わらず、足早に練習グリーンへと向かった。つかみかけた感覚を早く体にしみこませたい。(カリフォルニア州ロサンゼルス/服部謙二郎)

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