高い強度と断熱性備えた新建材でモデルルーム 木目生かしたぬくもり空間「国産木材の良さ感じて」 兵庫・加古川の前川建設

モデルルームの外観=加古川市加古川町木村

 兵庫県加古川市加古川町北在家の前川建設が、新たな建築木材「直交集成板(CLT)」を構造材に使ったモデルルームを、同町木村に建設した。CLTは、板の繊維の向きが交差するように重ねて接着し、強度を高めたパネル。国産材の利用を進めるため、政府が普及を図っている。使用した建築物は、東播地域にはまだほとんどないという。木目を生かしたぬくもりある空間をつくっている。(斉藤正志)

 CLTは1995年ごろ、オーストリアで初めて製造された。欧州を中心に拡大し、マンションや商業施設などで使われている。強度と高い断熱性を備え、これまで木材があまり使われなかった中高層の建築物にも、用いることができる。

 あらかじめ工場で建物に合わせた形に加工するため、短期間で施工できる。コンクリートより軽いため、基礎工事を簡素化でき、コストも低減できるという。

 政府は国産木材の新たな需要を掘り起こし、新産業の創出にもつなげられるとして活用を促進。内閣官房によると、CLTを使った建築物は全国で年々増加しており、2014年度までに計29件だったが、21年度だけで160件が建設された。同年度までに全国で計779件(うち兵庫県内19件)が建てられたという。

 前川建設のモデルルームは、22年11月に着工。23年4月に完成した。2階建てで延べ床面積73平方メートル。CLTを、壁や床、天井といった構造材に使っている。木目の見える内装で、木の香りや温かみを感じることができる。住宅や事業所、店舗などの建設を考えている客の見学を受け付けている。1階にはバーカウンターがあり、イベントなどでも利用する。

 同社経営企画室長の前川桂恵三(けいぞう)さん(45)は「国産木材を使ったCTL建築の良さを感じてほしい。木造による建築の可能性が広がれば、日本の林業の振興にもつなげられる」と話す。

 見学には予約が必要。申し込みは、同社の木造建築ブランド「幸木之家」のホームページからか、電話で受け付ける。同社TEL0120.556248

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