教育旅行、岩手県内定着いかに 近場志向、変化に懸念

修学旅行を楽しむ湯沢東小の児童。コロナ禍が収束に向かい、つなぎ留めが課題となる=15日、平泉町・中尊寺

 岩手県内で受け入れが好調な教育旅行を巡り、観光関係者が先行きに気をもんでいる。新型コロナウイルス禍で首都圏や海外を避けて近場を選ぶ傾向が強まっていたが、感染対策の緩和で往来の制限がなくなり、コロナ前に戻るとの懸念がある。震災学習や自然体験など本県で学びを深めてきた各校をつなぎ留められるか「正念場の年」となりそうだ。

 秋田県の湯沢東小(寺田玲子校長、児童449人)の6年生66人は15日、平泉町の中尊寺を訪れ、世界文化遺産を見学した。小川莉己(りこ)さんは「歴史を感じられる場所で楽しめた。また訪れたい」と満喫した。

 県によると、2022年はコロナ前の19年の1.5倍となる4742校(延べ29万1千人)が訪れた。内訳は県外の学校が61.3%で、東北からの訪問が多い。沿岸部はコロナ前の1.7倍に増加。東日本大震災を知らない世代が増える中、津波伝承館など震災学習の場が整ったことも背景にある。

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