新電力会社で電気代が高騰、auや楽天は最大5割値上げ…いったん大手電力に戻るのもアリ

北海道、東北、東京、北陸、中国、四国、沖縄の大手7電力が6月から「規制料金」を値上げしました。規制料金とは、’16年の電力自由化前からある電気料金プランです。値上げには国の認可が必要なので昨年秋から料金は頭打ちでしたが、6月からは15.9~39.7%の値上げを実施。東京電力の6月の規制料金は、標準的な使用量の家庭で7690円です。

いっぽう、電力自由化後に登場した新電力会社や、大手電力とガスとのセットプランなどに移った方の「自由料金」は昨年秋以降も値上がりが続いています。当初電気代の安さを武器に顧客を獲得した新電力会社ですが、たとえば「auでんき」は使用量に応じて支払う「従量料金」を6月からさらに3~5割引き上げて、標準家庭の料金は東京電力と同水準に。「楽天でんき」はすでに4月から3~5割の値上げを実施済みです。

また「ソフトバンクでんき」の東京エリアなどは、従量料金に加えて、電力市場の取引価格に連動する「電力市場連動額」を上乗せします。標準的な使用量の家庭で6月は8387円。東電より約700円、おおむね1割高くなる計算です。

■契約の見直しで電気代が下がることも

「ドコモでんき」のように地域によって値上げ時期が違ったり、まだ値上げに踏み切らない新電力もありますが、今後の値上がりは避けられないでしょう。というのも新電力は電気を安く調達できる自前の発電所を少ししか持たないところが多く、’22年から価格高騰が続く卸電力市場からの調達に頼るしかないからです。こうした重荷に耐え切れず、倒産する新電力もあります。事業者全体の約3割にあたる195社が事業停止に追い込まれました(’23年3月・帝国データバンク)。

これから夏に向けて、電気代の高騰は家計にとって死活問題です。まずは電気料金の比較を。「電気ご使用量のお知らせ」などに記載された1カ月の使用量などを見て「エネチェンジ」など電気料金の比較サイトでシミュレーションしてみましょう。「大手電力のほうが安かった」という方は、いったん大手電力に戻るのも一手です。電気の乗り換えは新しく契約したい電力会社に電話一本かければOK。時機を見て新電力のほうが安くなったら、再度乗り換えればいいのです。

また、電気料金プランの見直しを。契約から数年たつと家族構成や生活スタイルの変化もあるでしょう。日中の外出が多くなったら、夜の電力使用が多いプランに変えるだけで安くなることもあります。契約アンペア数を下げるのも効果的です。そのうえで節電が必要です。エアコンの設定温度を1度上げる、カーテンなどで部屋に入る熱気を遮断する、30分程度の外出ならエアコンはつけたまま、オン・オフを繰り返さないなどの対策を。

熱中症に気をつけながら、コツコツ節電を続けましょう。

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