「これが本場パリの味…!」横浜にある“極うまパン屋“やみつきになる美味しさ

【ラ ブティック ドゥ マモル】 幅広い世代が中山さんパンを買い求めていく

東横線白楽駅。改札を出てすぐの場所に「六角橋商店街ふれあい通り」というアーケード街がある。終戦直後にひらかれた闇市を発祥とする、昭和の歴史と趣きを感じるディープな商店街だ。

自転車が2台通れるかどうか、それぐらい狭い狭い商店街だが、居酒屋、花屋、魚屋、洋品店、袋物屋、惣菜屋、鶏肉屋、古着屋など小さい店が肩をよせあうように佇んでいる。

そのなかにブルーの看板を掲げた、オシャレなパン屋がある。今回紹介する『ラ ブティック ドゥ マモル』である。

【21枚】白楽駅近パン屋「ラ ブティック ドゥ マモル」フォトギャラリー

以前オリーブが入ったパンを近くの駐車場で買い食いしたらめちゃくちゃうまかった。その足ですぐにUターン、別のパンとお菓子を1個ずつ買い食いした。

【ラ ブティック ドゥ マモル】 おいしそうなパンがたくさん並んでいる

以前オリーブが入ったパンを近くの駐車場で買い食いしたらめちゃくちゃうまかった。その足ですぐにUターン、別のパンとお菓子を1個ずつ買い食いした。

ディープな商店街に、なぜこんなにうまいパンを焼く店があるのか。それが気になり、取材をお願いした。

華麗な経歴のパン職人が昭和な商店街に出店したワケ

【ラ ブティック ドゥ マモル】 オーナーシェフの中山護さん

パン職人の名は中山護さん。

中山さんは『ル・コルドン・ブルー代官山校』でパン作りを学んだ。その後、自由が丘のパン屋に入店。パン職人として働きはじめた中山さんに、ル・コルドン・ブルー代官山校でお世話になったフランス人講師からお呼びがかかった。

「学校併設のカフェをオープンするので手伝ってほしいという話でした」

『ル・コルドン・ブルー ラ・ブティック』(その後、『カフェ ル・コルドン・ブルー』に改名)で、クロワッサンやブリオッシュなど30種類のパンを焼いた。

【ラ ブティック ドゥ マモル】 中山さんが焼いたバゲットは、ご年配の女性の間でも人気があるという

代官山のカフェを辞めて、パン教室の講師に就任。その系列会社がパリと都内に多店舗展開しているパン屋だったことからパリの店で研修を受けることになり渡仏。

帰国後、パン教室でフランス仕込みのパン作りを教えた。

……といった経験を経て2020年に独立。ラ ブティック ドゥ マモルをオープンしたそうです。

【ラ ブティック ドゥ マモル】

オシャレな町の厨房でパンを焼いていた人がなぜ「六角橋商店街ふれあい通り」を選んだのか。

「商店街でやりたかったんですよ。この商店街には昔からの伝統を大切にしている人がいます。そして、なによりもこの商店街には味があるし。だからここを選びました」

ル・コルドン・ブルー ラ・ブティックのレシピと、パリ仕込みのレシピを元に、現在30種類以上のパンとお菓子を焼いている。

そのなかからぜひ食べてほしいパンとお菓子を5つ選んでもらった。

真っ先にあげてくれたのが「クロワッサン(240円)」。

「日本では全体がサクサクしたクロワッサンが好まれますが、フランスでは表面がサクサクで、芯がもっちりとした食感が求められます。国産発酵バターを使い、フランス人好みのクロワッサンを焼くように心がけています」

【ラ ブティック ドゥ マモル】 パリ仕込みのクロワッサン

中山さんのクロワッサンは、皮がサクサクで芯はもちもち。バターの風味も豊か。

フランス人講師にパン作りの指南を受け、その後パリのパン屋で研修を受けただけにクロワッサンはおいしかった。

まだ賞味していないが、クロワッサンショコラもおいしそうだ。

酸味をおさえたカンパーニュがおいしかった

【ラ ブティック ドゥ マモル】 カンパーニュ

「『カンパーニュ(700円)』は酸味が強いと思われているようですが、フランスにも酸味が弱いものがありました。ライ麦を発酵させると酸味が強くなるので、ライ麦の量を調節することで酸味を抑えたカンパーニュを焼いています」

できるだけ薄くスライスし、薄く切ったチーズや生ハムをのせて食べてもおいしいそうだ。

チーズとレタスをはさみ、オリーブオイルをかけてもおいしかった。70代や80代の女性がカンパーニュやバゲットを買っていくそうだ。

【ラ ブティック ドゥ マモル】 ちょっぴり辛いオリーブパン

私が感動した「オリーブパン(240円)」を中山さんがおすすめのパンにあげてくれた。

「バゲットの生地で作っているのですが、スペイン産オリーブにガーリックとカイエンペッパーを配合することで少しピリ辛に仕上げてあります」

オリーブオイルをつけて賞味したらオリーブの香りがふくよかになり、さらにおいしくなった。

「商店街とのコラボ商品を作るのが好きなんです」

中山さんがこの商店街を選んだ理由はもうひとつある。

「商店街とコラボし、新しいものをつくれたら愉しいだろうと思っていました」

【ラ ブティック ドゥ マモル】 ジャガイモパン

『Hakuraku Mökki』(ハクラク モッキ)とのコラボで開発したのが「ジャガイモパン」だ。Hakuraku Mökkiはクラフトビールとナチュラルワインとスパイスを使った料理を提供するカフェ&バー。同店のカレーにあうパンとしてジャガイモパンを考案した。

「マッシュポテトとヨーグルトを練り込んだ、もちもちのパンです。そのままでもいいし、サンドイッチにして食べてもおいしいと思います」

【ラ ブティック ドゥ マモル】 プチマッシュ(上)とジャンボメレンゲ

もうひとつコラボで誕生したものがある。パンではない。「プチマッシュ(280円)」というメレンゲだ。

「『立ち呑みMASH』が青唐辛子の三升漬を作っています。それを配合しているピリ辛のメレンゲです。ビールのアテにピッタリ」明日ひらかれるヤミ市用に焼いた『ジャンボメレンゲ』があるというので見せてもらった。

【ラ ブティック ドゥ マモル】 中山シェフが選んでくれたパンとお菓子

ヤミ市というのは、六角橋商店街が4月~10月(8月はお休み)の第3土曜日の午後8時から開催するフリーマーケットだ。

物販だけでなく、ジャズライブやダンス、商店街プロレスなどがひらかれる。

独立に際し、中山さんがオシャレな街とはひと味もふた味も異なるディープな商店街を選んだ理由が少しわかったような気がした。

【ラ ブティック ドゥ マモル】

住所/神奈川県横浜市神奈川区六角橋1-11-16

電話/045-834-9410

営業時間/8:30~16:30(土日祝日9:00~17:00)

定休日/火曜水曜

(うまいパン/ 中島 茂信)

© ぴあ朝日ネクストスコープ株式会社