ブルターニュ地方、黒犬と歩く海辺の町サン・マロ

こんにちは、フォトグラファーの吉田パンダです。今は夏のバカンスともなれば、北も南も大混雑なフランスですが、暑い夏の日にさらに暑い南仏を人々が目指すようになったのは主に20世紀に入ってから。19世紀以前、南仏は避寒地として冬に向かう場所であり、有閑階級の夏の避暑地としてポピュラーだったのは、北のノルマンディーやブルターニュ地方でした。今回はそんなブルターニュ地方の海辺の町、サン・マロからお届けします。

サン・マロといえば「Intramuros(イントラムロス)」と呼ばれる城壁に囲まれた旧市街が有名なのですが、今回はそちらではなく、そこから1kmほど離れた「サン・セルヴァン地区」に宿をとりました。

ここには絵葉書を並べるようなお土産屋さんがありません。自分も観光客なので他人のことは言えないんですが、観光客があまりに多い場所が前から苦手です。この間も取材先でライターさんとオーバーツーリズムについて話していたんですが、観光客があふれすぎている場所はもうその土地を見るのではなくて、「観光客を見る」になってしまっているよねと。

その点、サン・セルヴァン地区は間違いありません。対岸のディナールほどセレブではなく、隣の旧市街ほど観光客があふれておらず、理想的なバランスを保っています。満ち引きによって刻々と姿を変える海岸線も、青空に映える青みがかったスレート屋根も、時折涼しいくらいに頬をなでるブルターニュの海風も、まだすぐそこにあります。写真は宿から一番近い、サブロンビーチ。6月ということもあり、行き交う人もまばらです。よしよし、、←謎の満足感。

右にある緑の建物はビーチ沿いのホテル・カニングハム。英国調のこの宿にも1カ月ほど滞在してみたいですね(夢)。海岸線を眺めるベランダで、「黒犬と海」とかエッセイでも書きながら、、。

Manoir du Cunningham

https://www.st-malo-hotel-cunningham.com/

「あのー、、頭、大丈夫ですか!?」

放っておいてもらえますか。いや、そんな妄想をしたくなるくらい、このサン・セルヴァン地区が気に入っているということです。ちょっと住んでみたくなるくらいに。

見晴らしの良いテラスから。

さて、穏やかな海岸線を散歩した後は、夕食を仕入れに惣菜屋へ参りましょう。

お袋の味的な惣菜が買える、肉屋へ来てみました。惣菜を探す際、「Traiteur(惣菜屋)」などで見つからなかったら、「Boucherie, Charcuterie(肉、豚肉加工品店)」を見てみると割と扱っています。

サラダやトマトファルシ、鶏のロースト・キノコソースなど物資調達。

道すがら、犬が運転するシェアカーに出会いました。運転、気をつけてね。

帰り道は満潮になった海岸沿いで、犬生初めての海に黒犬と近づいてみます。

「これが海ですよー」

海水浴のシーズンは基本的に犬がビーチに入れないので、船用(?)の坂道から。

「風呂も嫌いなんだから、ビビりのオレが海水に近づくわけないっしょ」

「ほーら、この目を見なさい。黒犬を抱っこしたくなってきませんか」

というわけで、いつもの定位置に。安心した顔してます。

サン・セルヴァン地区にはソリドール塔という現在は博物館になっている監視塔が残っていて、その周りがちょっとした散歩道になっています。

波止場ではウエットスーツを着て飛び込みの練習をする子どもがいたり、ずっと座っているおじいちゃんがいたり。やはり、今出かけるならサン・セルヴァンです。次回は猫と一緒に、サン・マロ旧市街突端(とったん)にある灯台を目指します。どうぞお楽しみに。

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