罰当たり…4市2町でさい銭泥棒など48件、容疑の47歳男を追送検 拝殿こじ開け、さい銭箱ひっくり返す様子も

防犯カメラに映っていた、さい銭箱から現金を盗む男(吉羽天神社提供)

 埼玉県内の神社からさい銭を盗んだなどとして、県警捜査3課と杉戸、久喜署は16日、住居侵入と窃盗などの疑いで、住所不定、無職の男(47)=住居侵入と窃盗罪で公判中=をさいたま地検越谷支部に追送検した。県警はさい銭盗など48件(被害総額約23万円)を確認。うち45件(同約8万円)を追送検し、捜査を終結した。

 追送検容疑は、2021年11月11日~今年2月24日、県内の神社や集会所など17カ所に侵入するなどして、現金計7万円や缶ビール、食料品など88点(計約1万円相当)を盗んだ疑い。

 捜査3課によると、昨年3月ごろから、県東部の神社でさい銭を狙った窃盗事件が散発。7月上旬に久喜市と杉戸町で発生したさい銭盗で付近の防犯カメラの映像から男が浮上し、9月に杉戸町の住宅から現金が盗まれる空き巣事件の目撃情報などから特定された。県警は今年3月14日、杉戸町の調整池付近にいた男を発見し逮捕していた。

 男は住宅への空き巣は昼間に、神社などは昼夜を問わず犯行に及んでいた。狙っていたのは、簡易的な造りで無施錠のさい銭箱のある神社や寺。主にバールでさい銭箱を破壊する手口で小銭などを盗み、空腹の時は集会所から食べ物や飲み物も盗んでいた。被害は宮代、春日部、幸手、白岡など4市2町で計48件に上り、うち神社や寺は39件。以前住んでいた土地勘のある地域で、下見をせずに徘徊(はいかい)し、犯行場所を選んでいたとみられている。

 男は容疑を認め、「生活費や遊興費が欲しかった」と供述しているという。

■「罰当たり」逮捕に安心 被害に遭った神社

 被害に遭っていた神社の一つ、久喜市の「吉羽天神社」を管理する総代の町田秀夫さん(76)は「さい銭泥棒は昔から罰当たりと言われている」とした上で、「犯人が捕まった今は安心している」と心境を語った。

 吉羽天神社では、以前からさい銭が盗まれる被害に遭っており、今年1月ごろまでに少なくとも10回、現金計約1万9500円が盗まれた。

 町田さんによると、さい銭箱は本殿につながる拝殿の中に置かれており、参拝者は建物の外から扉に開けられた投入口からさい銭を納める仕組み。周辺の神社などでも同様の被害があったこともあり、町田さんは昨年2月に県警に相談し、拝殿に防犯カメラを設置したところ、拝殿の扉をこじ開け、さい銭箱をひっくり返して盗む青木容疑者が写っていた。

 今夏には新型コロナによって数年開催できていなかった祭りも再開する予定。町田さんは「犯人が捕まってからは被害はなくなった。地域に活気が戻る前に解決できてよかった」と笑顔を見せた。

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