「覚えていない」永山絢斗容疑者逮捕…若年層に激増「大麻汚染」の深刻度

警視庁の薬物銃器対策課による内偵捜査が続いていたという(takahiro.048/PIXTA)

「永山が“逮捕されるのではないか?”という情報はここ1週間、報道関係者の間で急速に広まっていました。情報を入手した数社は永山逮捕Xデーに備え、連日永山が住む自宅マンションなどの張り込みや行動確認を続けていました」(警視庁担当記者)

6月16日未明――。俳優の永山絢斗(34)が今年4月に東京・目黒区自由が丘にある自宅マンションで大麻を所持したとして、警視庁・薬物銃器対策課に大麻取締法違反容疑で逮捕された。前出の警視庁担当記者が永山逮捕の経緯について説明する。

「捜査の端緒となったのは今年1月に本庁に寄せられた女性からの情報提供。その端緒情報を基に、薬物銃器対策課は内偵捜査を慎重に進めていました。逮捕容疑となった今年4月の大麻取締法違反では永山の出したゴミから大麻片が押収されていたようです」

今年4月には、すでに逮捕容疑となる証拠を入手していながらも6月まで内偵捜査を続けていたのは「(永山の)行動確認や交友関係も含め入手ルートなどを見極めようとしていたのではないか」(同前)という。

そして逮捕同日の午後2時過ぎには自宅のリビングルームの照明スタンドにかかっていたポーチの中に隠され、ラップに包まれた状態で1グラム程度の乾燥大麻を所持していたとして永山は再逮捕。1月の情報提供と4月の逮捕、6月の再逮捕の経緯を見ると常習性があったものと思われる。

「大麻事犯」増加の傾向に

俳優の永山瑛太を兄に持ち、近年ではテレビや映画などを舞台に活躍していた永山容疑者。今月30日には映画『東京リベンジャーズ2』の公開が決まっているがネット上では公開を危ぶむ声も散見している。

来年には大河ドラマの出演も決定するなど、順風満帆に見えた永山容疑者を大麻に駆り立てた理由については今後の捜査の推移を見守るほかないが、近年では永山容疑者のような若者を中心に急速に大麻事犯が増えている傾向にある。

法務省の令和4年版犯罪白書の大麻取締法違反検挙人員の推移(年齢層別)の統計(平成22年度~令和3年度)を比較すると、40歳代以下の大麻での検挙人員が急激に増えていることが読み取れる。例えば30~39歳は578人だった検挙人員が984人に増加。20~29歳は1186人から2823人と約倍に増加。20歳未満に至っては164人から994人と約5倍近く増加している。

「リキッド」や「クッキー」などの販売も

こうした若年層を中心とした大麻事犯増加の要因の一つとして「近年ではSNSを使用した個人間での取引が増えてきていることにある」と捜査関係者は指摘する。

「SNSを検索してみると“野菜”(大麻)や“手押し”(手渡し)などの隠語が散見され、面識のないもの同士がテレグラムなどの情報秘匿アプリを使用して大麻を取引している。特に若者はファッション感覚で大麻に手を出すものも多く、罪悪感の希薄さからか増加は顕著になってきている」

さらに最近では大麻成分を含んだリキッド(液状)やクッキーなどを販売する業者も存在するが「逮捕しても(大麻成分の)規制成分を超えていると思わなかった、と言い逃れされる場合も多く今後の取り締まりの課題となっている」(同前)という。

警察の取り調べに対し、「覚えていない」と供述しているという永山容疑者。警察は今後入手ルートや常習性を含め慎重に捜査を進めていくというが、安易な気持ちから大麻に手を出した代償は高くついてしまったようだ…。

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