子どもと山登りの注意点、福井県のおすすめの山は? 学校行事で復活させた小学校も

山登りを楽しむ糸生小の児童たち=2022年6月、福井県越前町の越知山

 天候や地形によっては危険な場合もあるが、普段見ない植物や動物に触れることができる山登り。心身の発達に有効として、昔は小学校から中学校まで教育の現場でしばしば行われていたが、今では珍しい行事になった。そんな中、山登りを学校行事として復活させた小学校もある。子どもの山登りに適した山や、登山の注意点を専門家に聞いた。

△困難乗り越える力

 福井県越前町の糸生小学校では昨年6月、約40年ぶりに地元の越知山(標高612.8メートル)登山を学校行事として復活させた。企画したのは同校の卒業生で、昨年赴任した安井秀明校長(59)だ。

 「小学生のころ自分も登った。子どもたちは、泰澄が開山したといわれる越知山を勉強して知ってはいるが、実際にその自然と歴史を味わってほしかった」と安井校長。地元住民をはじめ消防署員、町職員らの協力を得て復活にこぎつけた。

 今年は雨のため中止となったが、昨年は5、6年生計25人が挑戦。自然を楽しみながら、みんなで励まし合って約3時間かけて登り切った。安井校長は「山登りのしんどかった経験が、これからの人生の困難を乗り越える力になる」と来年以降も続けていく考えだ。

△当日の天候確認

 大人のサポートが必要不可欠な子どもの山登り。安全に楽しむにはどんなことに注意すればよいのか。

 日本山岳会福井支部長の森田信人さん(81)=福井県福井市=は「登る山についての情報を保護者がしっかりと集めて、責任を持って連れて行くことが前提。まずは当日の天候の確認を」と指摘する。

 「子どもの年齢や体力に応じて、無理のない標高の山を選ぶとよい」と森田さん。園児なら足羽山(福井市、116メートル)など200メートル未満の低い山。小学校低学年は下市山(福井市、260メートル)や文殊山(福井市・鯖江市、365メートル)。高学年は越知山や野坂岳(敦賀市、913メートル)など。いずれも登山者が多く、道が整備されていて登りやすいという。

⇒初めての山登りにおすすめの山は

△下山の判断も

 服装は動きやすく。持ち物は雨具、おやつ、水かお茶、スポーツ飲料、虫よけスプレー、傷薬など。夏は熱中症に注意し、秋は日没が早いため懐中電灯を持参しよう。

 森田さんは「頂上まで登らなくてもいい。体調が悪くなったら下山の判断も大切。子どもに無理に登らせず、自然に親しむことを考えてほしい。友達と一緒だと競ったり、遊んだり、助け合ったりしながら楽しく登れる」と話している。

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