ビンゴ・レーシングのコルベットC7が逆転優勝。G82型M4 GT4も投入初戦を制す/GTWCアジア第3戦富士

 6月17日、静岡県の富士スピードウェイでファナテックGTワールド・チャレンジ・アジア・パワード・バイAWSの2023年第2ラウンドの決勝レース1となる第3戦が行われ、ビンゴ・レーシングの9号車コルベットC7 GT3-R(武井真司/飯田章)が総合優勝を飾った。

 いよいよ日本でのレース初戦を迎えたGTWCアジア。富士スピードウェイでの第2ラウンドにはシリーズ最多となる40台がエントリーを行い盛況さをみせている。初日となる17日は暑さを感じさせる晴天に恵まれ、14時30分から60分で争われる決勝レース1が幕を開けた。

 スタートでは、ポールスタートのファントム・プロ・レーシングの29号車アウディR8 LMS GT3がトップをキープ。2番手にはクラフト・バンブー・レーシングの37号車メルセデスAMG GT3、3番手にはR&Bレーシングの87号車ポルシェ911 GT3 Rが続く。その背後には日本勢のビンゴ・レーシングが走らせる9号車コルベットC7 GT3-Rが2.7秒差でつける。

2023GTワールドチャレンジ・アジア第3戦富士 レース序盤のトップ争い

 各マシン無事に1周目を終了したかと思われたものの、2周目のダンロップコーナーでアブソリュート・レーシングの992号車ポルシェ911 GT3 Rがスピンを喫しコース上にストップ、その横っ腹にクレフモータースポーツの17号車マクラーレン720S GT3が突っ込んでしまうアクシデントが発生。

 このアクシデントにより早くもセーフティカーが導入され、接触した992号車と17号車はマシンダメージにより、ともにピットへ戻りレースを終える結果に。コースに散らばったパーツ回収完了後、レースは5周目から再開を迎えた。

 その再スタートでは各車クリーンな出だしをみせ、上位勢の順位は変わらずにラップが重ねられる。7周目の1コーナーでは5番手につけるプラス・ウィズ・BMWチーム・スタディの山口智英が前をいくコルベットC7 GT3-Rの武井真司のインを伺うも、ここでは順位は変わらず。

 11周目には37号車メルセデスAMG GT3のと87号車ポルシェ911 GT3 Rの2番手争いが加熱し、最終コーナーからの立ち上がり加速で差を詰めたポルシェがホームストレートでメルセデスの背後に迫り、コカ・コーラ・コーナーの進入でアウトからオーバーテイクに成功する。

 レーススタートから25分が経過するとピットレーンがオープンとなり、第1ドライバーたちが一斉にピットへと飛び込んでくる。このピット完了後には、作業とアウトラップの速さを披露し、武井から飯田章にドライバーを交代したビンゴ・レーシングのコルベットC7がピットイン組の先頭に立つ。

2023GTワールドチャレンジ・アジア第3戦富士 ビンゴ・レーシングの9号車コルベットC7 GT3-R(武井真司/飯田章)

 さらにその後方からは藤井誠暢が駆るDステーション・レーシングの47号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3が追い上げを披露してコルベットの後方まで迫る。その後方にはR&Bレーシングの4号車ポルシェ911 GT3 Rが続き、さらにR&Bレーシングの僚友87号車が4番手、そしてポルシェセンター岡崎の18号車ポルシェが5番手という上位勢の争いに。

 しかし20周目、その上位争いから87号車がタイヤトラブルにより脱落。これで優勝争いは9号車コルベット、47号車アストンマーティン、4号車ポルシェに絞られる。そんななか、2番手を走行する47号車に90秒間のピットストップ時間が足りなかったとして1秒のストップ&ゴーペナルティが科されてしまう。

 これで47号車は優勝争いから脱落、さらにポルシェセンター岡崎の18号車ポルシェにもターン7での接触によるドライブスルーペナルティが提示され、上位を争っていた日本勢の2台が姿を消すことに。

 レース残り10分を切ると3番手争いが白熱し、クライマックス・レーシングの2号車メルセデスAMG GT3とAASモータースポーツ・バイ・アブソリュート・レーシングの911号車ポルシェ911 GT3 Rによる表彰台を賭けた戦いは911号車のアレッシオ・ピカリエッロに軍配、2号車のデニス・リンドは4番手に後退となる。

 後方のバトルを尻目に、トップを走行するビンゴ・レーシングの9号車コルベットC7 GT3-Rは独走を披露し、最終ラップにはペースを落とす余裕もみせ2.5秒差で優勝を飾った。2位には最終ラップでうまくバックマッカーを使用しポジションを上げたヴティコーン・インタラプワサク/ピカリエッロ組の911号車ポルシェ911 GT3 Rが続き、ルー・ウェイ/オルセン組の4号車ポルシェ911 GT3 Rが3位となった。

 GT4クラスはポールポジションから後続を寄せ付けずに独走したYZレーシング・ウィズ・BMWチーム・スタディの50号車BMW M4 GT4(加納政樹/織戸学)がG82型投入初戦で優勝を飾っている。

2023GTワールドチャレンジ・アジア第3戦富士 Dステーション・レーシングの47号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3(星野敏/藤井誠暢)
2023GTワールドチャレンジ・アジア第3戦富士 R&Bレーシングの4号車ポルシェ911 GT3 R(ルー・ウェイ/デニス・オルセン)
2023GTワールドチャレンジ・アジア第3戦富士 2位チェッカーを受ける911号車ポルシェ911 GT3 R
2023GTWCアジア第3戦富士 カーガイ・レーシングの1号車フェラーリ296 GT3(木村武史/ケイ・コッツォリーノ)
2023GTワールドチャレンジ・アジア第3戦富士 総合優勝を喜ぶ笹原右京監督/武井真司/飯田章(ビンゴ・レーシング)
2023GTワールドチャレンジ・アジア第3戦富士 GT3クラスの表彰式
2023GTワールドチャレンジ・アジア第3戦富士 GT4クラス優勝を喜ぶ織戸学/片野田洋介監督/加納政樹(YZレーシング・ウィズ・BMWチーム・スタディ)
2023GTワールドチャレンジ・アジア第3戦富士 GT4クラスの表彰式

■GTワールド・チャレンジ・アジア第2ラウンド/第3戦決勝レース結果

ファナテックGTワールド・チャレンジ・アジア・パワード・バイAWS

第2ラウンド/第3戦決勝レース結果

Pos. No. Class Team Car Driver Laps/Gap

1 9 GT3 Pro-Am ビンゴ・レーシング コルベットC7 GT3-R 武井真司/飯田章 33Laps

2 911 GT3 Pro-Am AASモータースポーツ・バイ・アブソリュート・レーシング ポルシェ911 GT3 R(992) V.インタラプワサク/A.ピカリエロ 2.516

3 4 GT3 Pro-Am R&Bレーシング ポルシェ911 GT3 R(992) L.ウェイ/D.オルセン 3.591

4 2 GT3 Pro-Am クライマックス・レーシング メルセデスAMG GT3 EVO Z.ビーファン/D.リンド 4.945

5 37 GT3 Pro-Am クラフト・バンブー・レーシング メルセデスAMG GT3 EVO A.シュウ/D.ジュンカデラ 6.734

6 333 GT3 Pro-Am ファントム・プロ・レーシング アウディR8 LMS GT3 EVO II X.アン/M.マック 12.671

7 888 GT3 Pro-Am トリプルエイトJMR メルセデスAMG GT3 EVO H.H.プリンス・アブドゥル・ラーマン・イブラヒム/R.スタナウェイ 24.633

8 25 GT3 Pro-Am NKレーシング ポルシェ911 GT3 R(992) 内山清士/近藤翼 32.043

9 11 GT3 Pro-Am アウディスポーツ・アジア・チーム・アブソリュート アウディR8 LMS GT3 EVO II A.ハルヤント/J.ユー 32.767

10 555 GT3 Pro-Am マエザワ・レーシング フェラーリ488 GT3 P.ブロムバクディ/横溝直輝 34.457

11 8 GT3 Pro-Am EBM ポルシェ911 GT3 R(992) S.サントソ/R.ハーカー 34.584

12 1 GT3 Pro-Am カーガイ・レーシング フェラーリ296 GT3 木村武史/K.コッツォリーノ 35.108

13 13 GT3 Pro-Am アウディスポーツ・アジア・チーム・アブソリュート アウディR8 LMS GT3 EVO II S.ジンズー/F.チェン 36.354

14 88 GT3 Pro-Am トリプルエイトJMR メルセデスAMG GT3 EVO H.H.プリンス・アブ・バーカー・イブラヒム/L.ストルツ 37.037

15 18 GT3 Pro-Am ポルシェセンター岡崎 ポルシェ911 GT3 R(992) 永井宏明/上村優太 42.456

16 3 GT3 Am クライマックス・レーシング メルセデスAMG GT3 EVO H.ユーチー/B.イェ 48.155

17 47 GT3 Pro-Am Dステーション・レーシング アストンマーティン・バンテージAMR GT3 星野敏/藤井誠暢 49.74

18 29 GT3 Silver ファントム・プロ・レーシング アウディR8 LMS GT3 EVO II L.カン/C.チー 50.036

19 33 GT3 Pro-Am チームGMB メルセデスAMG GT3 EVO 羽田野宏明/細川慎弥 01:01.5

20 72 GT3 Pro-Am ハブオート・レーシング ポルシェ911 GT3 R(992) M.チェン/A.パレンテ 01:02.0

21 77 GT3 Pro-Am クラフト・バンブー・レーシング メルセデスAMG GT3 EVO J.リー/M.ゲーツ 01:04.1

22 14 GT3 Pro-Am ハブオート・レーシング・ウィズ・GTO ポルシェ911 GT3 R(992) B.リー/安岡秀徒 01:06.4

23 51 GT3 Am AMACモータースポーツ ポルシェ911 GT3 R(991.1) A.マクファーソン/W.ベン・ポーター 01:22.4

24 7 GT3 Am コメット・レーシング フェラーリ488 GT3 山﨑裕介/辻子依旦 1 Lap

25 96 GT3 Pro-Am Kチューンズ・レーシング レクサスRC F GT3 末長一範/新田守男 1 Lap

26 22 GT3 Pro-Am KCMG ホンダNSX GT3 EVO P.イップ/E.リベラティ 1 Lap

27 500 GT3 Pro-Am チーム5ZIGEN ニッサンGT-RニスモGT3 HIROBON/川端伸太朗 1 Lap

28 360 GT3 Am ランアップ・スポーツ ニッサンGT-RニスモGT3 西川正明/田中篤 1 Lap

29 50 GT4 Silver-Am YZレーシング・ウィズ・BMWチーム・スタディ BMW M4 GT4 G82 加納政樹/織戸学 2 Laps

30 71 GT4 Silver-Am アキランド・レーシング トヨタGRスープラGT4 大山正芳/阪口良平 2 Laps

31 55 GT3 Am チームウエマツ マクラーレン720S GT3 植松忠雄/植松忠雄 3 Laps

32 718 GT4 Am チェックショップ・ケイマニア・レーシング ポルシェ・ケイマン718 GT4 RSクラブスポーツ 大塚直彦/小林翔 3 Laps

33 97 GT4 Am Kチューンズ・レーシング トヨタGRスープラGT4 野上昌範/藤井大温 4 Laps

NC 87 GT3 Silver R&Bレーシング ポルシェ911 GT3 R(992) B.ユアン/L.イェ 12 Laps

NC 60 GT3 Pro-Am LMコルサ フェラーリ488 GT3 中西慧/脇阪薫一 13 Laps

NC 5 GT3 Pro-Am プラス・ウィズ・BMWチーム・スタディ BMW M4 GT3 山口智英/荒聖治 13 Laps

NC 16 GT3 Pro-Am ABSSAモータースポーツ マクラーレン720S GT3 片山究/澤圭太 15 Laps

NC 992 GT3 Pro-Am アブソリュート・レーシング ポルシェ911 GT3 R(992) B.ジンロン/A.インペラトーリ 31 Laps

NC 17 GT3 Pro-Am クレフモータースポーツ マクラーレン720S GT3 鈴木祐子/井上雅貴 31 Laps

NS 19 GT3 Am ジ・スピリット・オブ・FFFレーシング ランボルギーニ・ウラカンGT3 EVO 濱口弘/大蔵峰樹 –

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