【長田孝宏さん(パティスリーアンジュ / オーナーシェフ)】昨日より美味しいお菓子をお客様に届けたい

長田孝宏さん(パティスリーアンジュ / オーナーシェフ)

【プロフィール】
長田 孝宏(おさだ たかひろ):新潟市出身。ホテルでシェフを務めていた父親に憧れて料理人を目指し、工業高校卒業後に新潟調理師専門学校へ進学する。卒業後はホテル新潟(現:ANAクラウンプラザホテル新潟)へ就職すると、パンとお菓子づくりの楽しさに目覚める。4年半勤務した後、1999年に「パティスリーアンジュ 吉田店」を、2011年に「パティスリーアンジュ 県央店」をオープンする。

ガタチラスタッフ:『新潟人154人目は、「パティスリーアンジュ」オーナーシェフの長田さんです!
料理人を目指すもパンとお菓子作りの楽しさに目覚め、25歳の若さで独立。以来、県央エリアを中心に2店舗を展開し、「おいしいお菓子」をお客様に届けるために日々おいしさを追求されています!素敵な笑顔で取材に応じてくださり、ありがとうございました!』

憧れだった父の背中を追って

–パティシエを目指したきっかけは何ですか?

長田さん:父親がホテルシェフで、小さい頃からその姿に憧れていました。学生時代はずっとサッカーに熱中していて、高校卒業はスポーツ推薦で進学という選択肢もあったのですが、父への憧れが消えずに「料理を学びたい」という気持ちが強くなり、調理師専門学校に進学しました。

–お父様はどんな反応でしたか?

長田さん:父親は反対でしたね(笑)。大変な仕事であるのを理解している分、息子に同じ思いをさせたくなかったんだと思います。最終的には私の想いをしっかり伝えて理解してもらいました。もともとは料理を作るシェフを目指していたのですが、父親から「まずはパンや製菓を学んだ方が良い」と勧められて、どちらも学べるホテルへ就職しました。

パティシエを目指したきっかけを語る長田さん

–初めてパンやお菓子を作った時はどうでしたか?

長田さん:専門学校では前菜やメインなどの“料理”を学んできたので、パンやお菓子となると初めての事ばかりでした。でも、それが面白くて仕方なかったですね。最初は思うようにできなかったパンの成形ができた時に「将来はパン屋になろう!」と思ったんです(笑)。当時の職場はパンと製菓の部門が一緒だったので、少しずつお菓子を手伝っているうちに、今度はお菓子作りが楽しくなってきちゃって。最終的にケーキ屋さんになりました(笑)。

–お菓子作りに魅了されたのですね(笑)すぐに独立されたのですか?

長田さん:ホテルでパン部門2年と菓子部門に2年半ほど勤めた後、独立しました。今思えば無謀だったと思います。まだまだ未熟なのに、根拠のない自信と勢いだけはあったんですよね(笑)。

–25歳で独立されていますが、不安はなかったですか?

長田さん:失敗したら、その時に考えようと思っていました(笑)。どんな仕事でもして借金を返せばいい話ですし、なんとかなるという気持ちでしたね。それでも、オープンしたら想像以上にお客様が来てくださって嬉しかったです!

店内

本当に良いと思ったものだけをお客様に

–2011年には2店舗目をオープンされたんですね!

長田さん:2011年に県央店をオープンしました。2店舗目も良い物件と巡り合い、勢いでしたね(笑)。現在はパティシエ3名で2店舗分のお菓子を作っています。

–2店舗分のこのラインナップのお菓子を3名で…すごいですね!

長田さん:なかなか大変ですが、スタッフのおかげで何とか続けられています。技術レベルも大事ですが、人として素晴らしいスタッフばかりでありがたいですね。お菓子を買いに行った時に、どれにしようか迷うくらいの商品数があった方が嬉しいと思うので、「自分がお客さんだったら」と想像してラインナップを考えています。お客様の色々なシーンを想定していますね。

店内

–お菓子へのこだわりはどんなところですか?

長田さん:見た目はもちろんですが、もっと大事なのが味だと思います。材料の価格高騰が続いていますが、そこは妥協せずに安心して口にしてもらえる本当に良いと思った材料を使用しています。あとは“余計なことをしない”ことですね!

–“余計なことをしない”とはどんなことですか?

長田さん:お菓子の説明をしなくても分かる味を目指しています。お客様はケーキと商品名を見て購入しますが、贈り物として受け取った人はどんなケーキか分からないですよね?食べた時に何味かわからないお菓子は作りたくないんです。だからこそ、素材の味が消えてしまうような手を加えることはしていません。当店のケーキは、何を食べているのかがすぐにわかると思うので、ぜひお試しください!(笑)

–パンも作られているんですね!

長田さん:近くにパン屋がなかったので、自分がパンを食べるために作ったのがきっかけです(笑)。種類もそんなに多くないのですが、美味しいと購入してくださるお客様も多く嬉しいですね。最初はショーケース内のケーキを揃えるだけで一杯一杯でしたが、お客様が増えるにつれて色々できるようになってきました。手づくりシロップのかき氷も提供していて、これからの季節はとても喜ばれます。これからも美味しさにこだわったものを提供し続けたいですね。

店内

昨日より美味しいものをお客様に届けたい

–商品数が多いのでおすすめを聞かれることも多いですよね?

長田さん:よく聞かれるのですが、全部がお勧めなのでいつも困るんですよね…。他のスタッフもそうですが、自分が好きな商品を提案しています(笑)。

–長田さんが特に好きなお菓子は教えてください!

長田さん:『クレームブリュレ』はどのお店よりも美味しいという自信がありますし、『アンジュ』という店名がついたクレームダンジュや『フォンダンショコラ』は、オープン当初から人気の絶えない商品ですね。どれもこまめにブラッシュアップを重ねているのでより美味しくなっていると思います。

–“創業から変わらない味”というのはよく耳にしますが、敢えて変えるのですね?

長田さん:「味を守り続ける」というやり方もありますが、私の中では全くそれがないですね。「美味しければ美味しいほど良いじゃない!」という考えです。他店で美味しい物に出会うと刺激を受け、もっと頑張ろうと思います。より美味しいものをお客様には召し上がっていただきたいですからね。

–最後に、今後の目標を教えてください!

長田さん:これからも商品のクオリティを上げ続けることですね!少しでも今よりレベルを上げていくために、勉強や食べ歩きなど学ぶことに労力を惜しまずに成長していきたいです。店名の『アンジュ』は、フランス語で“天使”という意味があります。天使のように純真で素直な気持ちで、これからもお菓子を作っていきたいと思います!

店舗外観

パティスリーアンジュ 吉田店】
住所:燕市吉田3651-8
電話:0256-91-1300

【パティスリーアンジュ 県央店】
住所:三条市井土巻2-245
電話:0256-63-9530

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