ふるさと納税、人気の秘けつは写真「映え」 兵庫・香美町職員の女性2人、プロ顔負けの撮影テク

返礼品の香住ガニを撮影する池田亮子さん(中央)と瀬戸浦珠生さん(右)=5月25日、香美町役場

 ふるさと納税のポータルサイトに載せる返礼品の写真を「映(ば)え」させようと、兵庫県香美町が力を入れている。昨年度に新設したふるさと納税推進室の女性職員2人が、香住ガニ(ベニズワイガニ)や但馬牛など人気返礼品の「ブツ撮り」に挑戦。上司もうならせる完成度の高さが評判だ。(長谷部崇)

 2人は、会計年度任用職員の池田亮子さんと瀬戸浦珠生さん。同町ではここ数年、ふるさと納税が好調で、昨年度の寄付額は約8億9700万円に達し、本年度は10億円の大台を目指している。

 最近力を入れているのが、山海の幸に恵まれた返礼品の見せ方だ。「ふるさとチョイス」「さとふる」など、ポータルサイトに掲載する写真は納税者が寄付先を決める判断材料になるため、なるべく魅力的な写真を載せたいところ。梱包(こんぽう)状態や皿盛り、調理の写真などがあればなおよいが、プロのカメラマンに頼むと1日数十万円かかるという。

 そこで昨秋、備品のカメラで2人が返礼品のシイタケや焼き菓子を撮ってみると、「結構ええやん」「自分たちでできるやん」と、上司も納得の出来栄えだった。今年に入り、町が撮影用の照明やクロスを購入。写真が得意な同僚から助言をもらい、料理本やインスタグラムも参考に、本格的に撮り始めた。

 香住ガニの撮影では、黒皿にヒバの葉を添えてパシャリ。カニ身セットは、調理例としてちらしずしやカニ丼、天津飯、パスタなどを2人で作って並べた。ホタルイカは自宅からスキレットを持ち込んでアヒージョに。焼き肉を撮る時は野菜も盛り付け、ホットプレートで焼き目を付け、たれに漬けたところを撮った。

 「家でどういうふうに料理できるか、イメージが膨らむような写真を意識している。苦労して撮影した返礼品に注文が入ると、うれしくなります」と2人。これまでに約30品を撮影したという。

 2人は昨年度、ふるさと納税のリピーターに手書きの感謝メッセージを送り、交流サイト(SNS)でも反響があったという。北村浩史室長は「うちのふるさと納税が好調なのは2人のおかげです」と感謝しきりだ。

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