養殖サーモン水揚げ 青森県むつ市脇野沢 2022年から試験 事業本格化に期待

養殖いけすから水揚げされるサーモン=17日、むつ市脇野沢

 青森県むつ市脇野沢の蛸田漁港で昨年12月から試験養殖を行っていたサーモンが17日、水揚げされた。半年間で重さ3キロほどに成長したサーモンが次々と揚がり、関係者は試験の成果を喜ぶとともに、今後の養殖事業本格化に期待を寄せた。

 試験は、サーモン養殖を通じて漁業者の安定収入確保や後継者不足解消を目指す脇野沢村漁協の意向を受け、県が主体となって実施。今別町や深浦町でサーモン養殖事業を展開する「日本サーモンファーム」(深浦町)と市が協力した。

 漁港内に設けた養殖いけすに約800グラムの稚魚約千匹を放流し、地元の漁業者が、自動で餌やりができる機械を使いながら、魚やいけすの網の観察・管理を行ってきた。

 この日は、関係者が見守る中、漁業者がいけすからたも網ですくい上げると、大きく育ったサーモンが勢いよく跳びはねた。水揚げされたサーモンは約800匹。体長60センチ前後、重さは平均3.1キロで4キロを超えたものもあった。その場ですぐにえらを切って血抜きを行い、同日中に青森市の加工施設に輸送された。日本サーモンファームの取引先のスーパーなどに出荷される予定。

 漁協は養殖事業の本格開始に向けて、漁業権の取得手続きといった準備を進めている。立石政男組合長は「ようやく水揚げを迎えられて感無量だ。人口が減って地域が疲弊しているので、これが一つの産業になることを期待している」と語った。

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