1年前から咳が出る…高齢の小型犬は風邪だと思わないで!獣医師に聞く、考えられる病気と症状【ペットドクター相談室】

13歳になるミニチュアダックスフンドを飼っています。ここ一年ほど痰が詰まったような咳をします。鼻も詰まっている事もあり、くしゃみをした拍子に粘度の高い鼻水が出る時もあります。かかりつけの動物病院には相談していますがそれに関してはこれといった処置はありません。咳の頻度は日に5~6回ほどですが、それより多い日もあります。(ミニチュアダックスフント、カイちゃんママさんの相談)【お答えします】福井県獣医師会 開業部会 文京動物病院(福井県福井市) 濱崎英正院長

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 13歳のミニチュアダックスフンドが1年前から咳をするとのことですが、一般的に咳をする場合、何らかの刺激や炎症が伴います。また、咳には乾いた咳と、湿った咳がみられます。

犬が咳をする原因は?

 咳の原因として鼻腔疾患、咽喉頭疾患、気管、下部気道疾患、肺疾患、心臓疾患などがあります。主に感染症(ウイルス、細菌、イヌフィラリア寄生虫による心臓、肺血管障害)や異物の吸入、アレルギー、腫瘍などによるものです。最近では、イヌの高齢化が進み、歯石や重度歯周炎により上顎の骨が破壊され後鼻漏(こうびろう)になる鼻腔疾患が、くしゃみや咳の原因になることもあります。

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 イヌが咳をすると、風邪や気管支炎などの呼吸器系疾患が原因と考えてしまいがちですが、今回のワンちゃんの場合、かなり長い間咳をしているので急性のものではないと考えられます。急性であれば発熱や元気、食欲も減退すると思います。

高齢犬の慢性的な咳、考えられる病気と症状

 イヌが老齢で慢性の咳をする場合、獣医師はまず第一に心臓疾患、特に小型犬に多く見られる僧帽弁(そうぼうべん)、閉鎖不全症(人間でもよくみられます)を疑います。

 症状は、咳、運動を嫌がる、呼吸困難などです。咳は最も重要な症状で日中より夜間に多く、興奮や運動によって悪化することもあります。一般的に咳の頻度と病気の重症度は比例します。重症になると、少しのストレスでもいきなり死にいたる危険性もあり、早期に適切な診断、治療を始めなければいけません。

獣医師に聞く、咳する犬の診断方法

 聴診をはじめ、一般検査、レントゲン検査、心電図検査、心エコー検査が主になります。これらを総合して診断します。

 高齢の小型犬が咳をする場合は、単純に風邪と思わずに(ただし子犬が咳をする場合は伝染性気管支炎、若齢の小型犬が咳をする場合は気管虚脱症などが考えられます)、動物病院で獣医師の適切な早期診断、早期治療を受けて下さい。また、年1回の定期健診も重要です。

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